2011/06/28

赤子連れ台湾旅行計画(一) お礼参りは可能か?

tomopee
 相変わらず頭がでかいtomopee。今はまだハイハイ前なので太めだが、台湾に行く頃には……どうなっているだろう。とりあえず将来は、両親に似ない花美男になってくれぃ(以上は近況報告)。

 さて、tomopee生誕及び現在までの成長へのお礼参りを兼ねて、台南旅行を計画している。現時点では日付未定。我々のスケジュールとtomopeeの状況如何で、秋になるか冬になるか断念するかは分からないけれど、いつでも行ける準備はしなければ、と思う。
 「お礼参り」を兼ねるということは、お礼すべき神々の居場所を、スケジュールに加えなければならない。
 もっとも、我々は大半の寺廟でお願いしていたのだ。すべてにお礼していたら、一週間でも足りないだろう。神々には実に申し訳ないが、勝手に厳選してみよう(厳選って言うな)。


★その手の神を祀る廟
・臨水夫人 臨水夫人媽廟 開隆宮 頂土地公廟
・註生娘娘 開隆宮 重慶寺(台北龍山寺 大龍峒保安宮)
・南斗 開基玉皇宮 天壇 三官廟

 これらのうち、南斗にはあまりお願いしていない(程度の問題だけどね)。ただし、玉皇宮と天壇は生後の祈願の場なので、それはそれで行くべきか。
 台北に行かない限りは、臨水夫人媽廟、開隆宮、頂土地公廟で良いかなぁ。


★熱心にお願いした寺廟
 熱心さを計るという発想自体が、神々に申し訳ない。しかし、どうしても厳選せねばならない時に、外せないのは開元寺、西華堂、祀典大天后宮である(北港朝天宮もそうだが、ちょっと無理だろう)。


 まぁ、ここまで挙げた寺廟なら数も少ないし、うち三つは首相大飯店から近いので、一見すると難易度は低そうにみえる。
 しかし、なんといっても熱帯の台南である。寺廟は開けっ放しで基本的に暑いという問題もある(開元寺には木陰があるけどね)。
 UV対策をいくらしようが、tomopeeの稼働時間はできる限り短く抑えねばならない。それに、授乳タイムも確保しなければならない。

 ホテルに徒歩で戻れる範囲以外については、百貨店(=授乳室)からの距離を考えてみる。
 開隆宮は遠東百貨(娯楽城)から近いが、娯楽城には授乳室がない。その代わり、新光三越(中山店)には辿り着けそうだ。しかしそれ以外はどうしようもない。
 というか、授乳室なんて新光三越(中山・西門)と遠東百貨(台南駅東)ぐらいしかないわけだ(一部スーパーにもあるらしいけど、設備がなぁ……)。
 ホテルからタクシーで向かい、テキパキと拝拝して、リミット前にホテルに帰還するしかなさそう。


 もう一つの柱である飲食関係は、別記事で考えてみる。果たして茶藝館には入れるのだろうか?(日本の常識から考えれば、迷惑行為だろうな)
 もちろん、医療関係とかもね。

2011/06/26

泊っていいのか?、の続き

 台南ガイドブックと非合法宿泊施設の問題の続き(前記事はこちら)。

 前市長の意向はともかく(というか、ガイドブックの中身なんて知らなかったろうが)、台南市のスタンスは、やはり非合法は非合法というものらしい。台南市観光局は5月13日に声明を発している(こちら)。
 首相大飯店のホームページでも、トップページに合法旅館業専用標識の写真が表示されるようになった。一番下の方なので、どれほどの人が確認するかは不明だけど、非合法施設が合法施設の経営を苦しめるということであれば、当ブログでもはっきり否定するのが筋だろう。

 台南市の声明にも書かれているように、合法宿泊施設の一覧は、市の観光サイト「台南好好玩」に載っている(こちら)。何も高級ホテルだけというわけではなく、一泊1000元以下の安宿やモーテルの類も含めた一覧である。
 非合法施設の中には、伝統的住居を利用したり、デザインに優れているなど、けっこう魅力的なものが多かったりする。単なる「安宿」ではないので、日本の観光客の目にとまる機会もあるだろう。
 しかし、そうした非合法施設のせいで我が常宿が苦しめられることは許しがたい。読者の皆さんも、非合法宿泊施設には絶対に泊らないようにお願いするぜ。

 たとえ日本人が経営していても、ね。

2011/06/18

泊っていいのか?、前市長!

 当ブログは、derorenが体験した場所だけを紹介している。従って、台南情報にはムラがある(具体的にいえば成功大学周辺など)。
 その気になれば手持ちの資料だけでも、その辺のガイドブックより詳しい紹介が可能だけど、体験していない内容を書くのは信頼性に欠けると思うので、書かないことにしている。

 もちろん、おのれの「体験」を無条件に信頼しているわけではない。というか、ウチを含めて、「体験」などそれだけでは何のアテにもならないのだ。
 本気で知ろうという努力を伴わない体験記なんて、未訪問者のコメントよりも価値がない。そうは思いませんか?


 世の中の旅行記にケンカを売るのはほどほどにしておくとして、体験した場所だけを紹介する場合、情報量が致命的に少なくなってしまうのが宿泊情報である。
 derorenらは、台南では首相大飯店の決まった部屋にしか泊まっていない。従って、首相大飯店の全容すらよく分からなかったりする。まぁビジネスホテルの全容を一宿泊者が把握できたら、それはそれで問題あるけどさ。
 台南旅行者にもそれぞれ都合はあるので、首相大飯店を選ばない人も当然いるだろう。derorenとしては、自分が首相大飯店を贔屓にする理由は示したので、あとは各自の判断で宿泊先を選べばいいのではないかと、ごく当たり前のコメントをしておく。

 ただし、泊まるべきではないと考える「宿泊施設」もある。
 少なくともderorenは、台湾政府の観光局が勧めない施設には、やはり泊まらないことを勧める。
 覚悟の上で利用した当人が、どんな事件に巻き込まれようと、それは知ったことではない。しかし、結局は台湾観光全体に悪影響が及ぶのだ。自己責任といって済まされはしないだろう。


 観光局が、絶対に宿泊しないよう呼びかけているのが、いわゆるレンタルルーム(日租套房)である。
 要するにマンションの一室をホテルの部屋のように使うもので、小綺麗なわりに安い。台湾で出版された一部のガイドブックには、広告が載っていたりするので、合法的な宿泊施設のように見えるが、許可されてはいない(というか、無許可で開業できちゃうのよね)。
 誰も監視していないマンションの一室なので、セキュリティに問題がある。そもそも部屋の合い鍵を使って、宿泊客が暴行されたなんて事件もあったらしいゾ。

 台湾といえば、20年ぐらい前に女子大生が高雄で殺されて、ワイドショーのネタになったなんてこともあった(とんでもない映像が流れたことで有名だ)。
 一人旅の人間が「台湾の人はみんな親切だ」と無防備に行動すれば、どこに泊ろうと深刻な事態に至る可能性はある。
 レンタルルームはまぁ、たまたま出会った人の家よりは安心だろう。しかしリスクが増えることにかわりはない。既に一部業者は日本語サイトすら作っているけど、絶対に泊まるべきではない。


 同じ理由で、ゲストハウスも勧めたくない。
 ゲストハウスにも、営業許可の出ている施設とモグリがあるらしいから、モグリは論外(日本人経営でも怪しいところがある模様)。
 その上で、盗まれてもいい荷物しかないなら、使ってもいいのかも知れない。ただしderorenは、火事になったら逃げられるだろうか?、とかいろいろ考えるので、泊まるつもりはない。窃盗のように明確な犯罪はさておき、寝たばこといったリスクについても、見知らぬ宿泊者のモラルに頼るしかない場所なんて、誰が利用するものか。

 ちなみに、日本のユースホステルは何度か利用している。ユースとゲストハウスは、似ているようで全く別物だ(ユースは沢山の窮屈な規則によって秩序を維持している)。
 施設の管理者次第では、ゲストハウスもそれなりの秩序は保たれるかも知れない。が、ろくな噂を聞かないゲストハウスを幾つか知っているので、辛口になっている。真面目に経営している人には申し訳ないが、まともな取り締まりのない台湾では、悪貨が良貨を駆逐するのも当然だと思う。


 営業許可が出ていても、本音をいえば避けたい宿は沢山ある。それは建物に対する信頼性の問題である。
 名前は出さないが、台北駅近くの某ホテルは、以前は非常に汚い安宿だった。しかし、大規模な改装によって、そこそこの値段の施設に生まれ変わっている……とだけ書けば、ポジティブに捉えることもできよう。
 しかしそのホテルは、大きなビルの一角で営業している。従って、改築工事がビル全体の強度にどのような影響を与えたかは定かでない。いや、恐らくは悪影響を及ぼしたのではないかと疑っている。
 derorenとhashiは、1980年以前に建てられたマンション(1981年に耐震性の基準が厳しくなった)に住むのが嫌になって引っ越しした経験をもつ人間だ(現在の住居は1997年完成)。
 まぁ数年前の某A歯事件で、日本の少なからぬホテルが営業停止に追い込まれたように、完成年度や外観だけでは強度なんて分からない。けどまぁ、素人でも推測可能なリスクぐらいは避けておきたいでしょ?


 ……と、ここまで読んだ奇特な皆さんは、まだ記事のタイトルに辿り着かないと苛立ちを隠せないのではあるまいか。リアルなderorenを知る者ならば、本題をなかなか言わない悪い癖が出ていると御立腹だろう。
 そろそろ種明かしをすると、タイトルの叫びは、最近購入したガイドブック『大台南72小時 這様最好玩』(墨刻出版2010.11)に対するものなのだ。

 このガイドブックには、合併した大台南市を二泊三日で旅行するプランが紹介されている。旧台南市内に関していえば不満もあるが、ライトなガイドブックとしてはそれなりの内容となっている。
 しかし、derorenとしては二つのポイントに突っ込まざるを得ない(要するに推薦できないので博客來のリンクも貼らない)。

 ツッコミポイントの一つ目は、巻末に見開きで載る台南市長のメッセージである。この「台南市長」は現在の大台南市の市長ではなく、民進党の候補者選びで負けてしまった旧台南市長だったりする。
 大台南市を紹介するガイドブックで、出版翌月に退任する旧市のアンタがなぜしゃしゃり出ているのかと言わずにはいられない。いや、確かに出版時点での「市長」はアンタしかいないけどさ(derorenは赤嵌楼で長々とスピーチを聞かされたので、出しゃばりなのは織り込み済み)。
 
 そしてもう一つが、日租套房の問題だ。
 この出版社のガイドブックは、以前に買った台北のものでも日租套房だらけだったが、このガイドもグレーゾーンもしくは真っ黒な施設が載っている。最近流行りの、民家を改造したタイプの宿泊施設も沢山紹介されているけど、これは許可を受けているのだろうか?
 そんな疑問を抱きつつページをめくった最後が市長の顔なのだから、タイトルの台詞を吐きたくなるのも当然ではないか!


 観光局の注意喚起とは裏腹に、大台湾旅遊網のような旅行ポータルでも日租套房は肯定的に扱われている。
 台中市が日租套房査察小組を作って取り締まるというニュースも流れているが、これも営業を停止させる方向ではなく、どちらかといえば安全という御墨付を与えるためではないかと思われる。
 まぁそもそも、台中というヤクザな街の話なので、真面目に取り締まるとも思えないけどネ。


 結局、derorenとしては「やっぱり宿泊はやめた方がいいのでは」としか書けない。自分が避けたい施設を推薦するのは不誠実なので、ね。

2011/06/11

最強の小吃辞典『慢食府城 台南小吃的古早味全記録』

tomopee
 予防接種の注射も何のその。tomopeeは、まだ見ぬ台湾を夢見る3ヶ月だ。航空料金が安いうちに(乳児でも無料ではないが)旅行する魂胆だろう?、と陰口をたたかれないように、じっくりプランを練らねばならんなぁ。
※現時点ではっきりしているのは、8月末までの出発はない、ということ。てなことで近況報告終わり。


 王浩一『慢食府城:台南小吃的古早味全記録』(心靈工坊2007.6.26)は、台南の小吃を七つに分類しつつ紹介する内容。例によって通販の方法はこちら
 「節令祭饌篇」では、台南の年中行事で食べる料理を、春節、上元……と取り上げる。そして、関連する食べ物を扱う有名店を紹介している。「伝奇麺食篇」は担仔麺などいわれのある料理を紹介、「経典米食篇」は伝統的な米食…といった感じで、台南の多彩な小吃を知ることができる。
 牛肉湯など漏れもあるが、数量的には最強の部類といえる。

 もちろん堅苦しさは全くない。料理によっては簡単なレシピも分かるし、台湾の料理に興味のある人も楽しめるだろう。
 地図も観光地と小吃店が網羅されており、かなり使える。ただし実際に使用する場合は、コピーをとるのが無難だ。
 そもそもこの本は写真たっぷりな代わりに重いので、街歩きで持ち歩く用途には向かない。旅行前に計画を立てるために利用し、地図のコピーだけ持ち歩くのが妥当だろう。

 このガイドは、私が買った時点で44刷を重ねているので、かなりのベストセラーである(少しずつ刷ってるんだろうけどね)。
 台湾=台北な人には、府城小吃のポテンシャルを知る良い本だと思う。オススメだ。

2011/06/06

乳児を連れて行く前に、台湾の食の安全が…

ドラゴンフルーツ
 台湾成分が足らないぞ、とスーパーに出掛けたらドラゴンフルーツを発見。ただしベトナム産で、しかも白いヤツ。
 水分補給ぐらいのつもりで切ってみる。そして食べると……。

tomopee
 やっぱり味がない。tomopeeは食ってないけど(ようやく三ヶ月だ)。


 そんな話はさておき、一応はtomopee連れでの旅行を目指して、調査を始めている。
 tomopee自体の予防接種の日程とか、離乳食の進み具合を加味しつつ、さらに異国で起きる諸問題への解決策を考えなくてはならない。
 まずは飛行機。これはまぁ、もちろん乗ることは可能。中でギャーギャー泣きわめかれると大変だが、現時点でその辺は想像できない(この夏に旅するわけではない)。
 授乳設備は、関空も桃園もあるようだ。高鐵は駅におむつ台がある程度かな? 車内は設備がない模様。
 台南市内での授乳設備は、百貨店にはある。某スーパーにもあるが不潔だという書き込みがあった。寺廟で授乳は無理だし、移動の制約は大きいだろう。
 病院の位置は把握している。が、もっとコミュニケーションがとれるよう努力しなければ。

 そもそも移動の制約については、暑さの問題もある。紫外線も気にしなければならないので、だっこ紐を使うにしてもそうそう歩けるものではない。メッシュ地でも暑さに耐えられないだろう(昨日今日の京都だって暑いのだ)。
 まぁ現地で沢山の人が子育てをしているのだから、旅行が無理だとは思わない。とはいえ、なかなか道のりは厳しい。

 厳しいと言えば、食の問題もある。
 しかし食に関しては、tomopee以前に可塑剤(DEHP)問題の方が大変だよな。

 ご存じの方も多いだろうが、合成樹脂用の可塑剤(DEHP)が広く食品に使われていた事実が判明し、台湾は今や大混乱に陥っている。
 最初は、発がん性のあるDEHPが、よりにもよって薬に使われていたという騒動だった。しかしスポーツドリンクやジャム、アイスクリーム、パン、100%ジュース(!)など、どんどんその範囲が広がっている。
 youtubeなどで見れる台湾のニュース映像では、台南市の職員が屋台を検査する様子も報道されている。我々もどこかでDEHPを摂取した可能性は否定できない。正直、既に食べてしまったものに関しては、心配しても無駄なのでしないけどね。

 まぁともかく、台湾飯には思いもかけないリスクがあったわけだ。
 大陸と違って地溝油の話は聞かないから大丈夫だろうと思っていたけれど、こればっかりは全容が明らかにならないとちょっとねぇ…。


 そういえば、ちょうど今日のテレビで地溝油を取り上げていた。
 去年の春頃には、上海のテレビ局がやってるグルメ番組で、まるまる一時間も特集をやっていた地溝油問題。画面で見るだけでも気分が悪くなったものだが、今日のテレビ番組もなかなか厳しかった。
 疑いだせばきりがないんだよな。上海でやってることを、台北でやってないだろうか、とかね。人口規模の桁が違うから、それはないと信じたいけど。
 回鍋油とか万年油(ドブさらいではないが使い古しの油)は確実にありそうだ。ただでさえ台北は飯が油っぽいから、tomopeeを連れて行くことはないだろう。

 やっぱり台南でサバヒー粥とか食ってるのが無難なんじゃないかなー…と、こんな記事でも無理矢理に台南贔屓に持ち込んで終わるderorenである。

2011/05/29

『台湾事情』を軽く読んでみた印象


 更新ペースが大幅に落ちている。旅をしていない上にtomopeeの世話が加わった我々は、相次いで風邪をひくというさらなる試練に直面した。現時点でderorenはどうにか復活、hashiもどうにか回復基調だけどね。
 病にもっとも弱そうなtomopeeは元気だ。今すぐにでも台南に連れていけ、という感じだぜ。仕方ないのでお茶の箱と記念写真だぜ。
※リアルな知人関係も見ているので、たまに現状報告をしている。一見さんは読み飛ばしてね。


 さて、先週のとある日のこと。某大で時間をつぶす用ができたので、図書館を漁ってみたら『台湾事情』が三冊所蔵されているのを発見した。
 『台湾事情』とは、台湾総督府が刊行していた報告書で、植民地経営の状況を記したものだ。図書館には昭和8年、11年、13年度の版が所蔵されていた。
 内容は言うまでもなく、経済に関するものが中心である。ウチは台湾の政治や経済を語るブログではないので、その辺は割愛するけれど、第七章「神社及宗教」と附録「主要都市及名所旧蹟」は興味深い内容だったので、ちょっと書いてみる。

 第七章は、一応体裁としては「第一節 神社」と「第二節 宗教」に区分される。国家神道を主張する当時の性格上、このように分けたのだろうが、第一節はページ数も少なく、内容も乏しい。あえて読む価値はない。日本の近代神道は元々薄っぺらいというのは禁句なので言わない(同じ日に折口信夫も読んだからねぇ…)。
 第二節でも、日本からやって来た宗教については、一様に読む価値がない。唯一面白いのは、日本仏教に関する次の一文である(どの年度も同文)。

明治二十二、三年の頃から各本山は経済上の困難から其の方針を一変し、布教費の支出を節減或は中止するに至つた為に、在台布教師は茲に已むなく独立自営の必要を生じ、為に其の伝道も何時しか内地人本位に傾き、且内地人の渡台者漸く増加するに伴ひ其の仏事法要を営むに忙殺せられて、終に全く本島人の布教を閑却するに至つた事は甚だ遺憾に堪へない所である。


 日本の各宗派は植民地で教団拡大を目論み、資金をつぎ込んだ。しかし思うように信者を増やせず、資金投入をやめてしまう。現地に取り残された格好の教団関係者は、とりあえず日本人相手の商売で生計を立てざるを得なくなったという。
 この状況が生じる必然を、同じ報告書の中で読むことができる。他でもない斎教の存在である。

 報告書では日本統治以前からの宗教として、儒教、道教、仏教、斎教の項目がたてられている。現地の信仰熱からすれば道教が少なすぎるが、これは道教を低俗なものとして抑えこもうとする方針に基づく意図的な編集だ。一方で仏教と斎教が分離され、後者の解説がかなりきちんとなされている。しかも、決してネガティブなものではない。
 即物的で迷信的な道教を蔑む立場からすれば、在家にもかかわらず戒律を守る斎教を、日本に存在しないからといって否定的に捉えることは難しいのだろう。
 しかしそれはそのまま、在家じゃないのに戒律を守らない、そんな日本の仏教各宗派に対する批判となる。浄土真宗なんて到底受け入れられるものではあるまい(親鸞個人の論理はともかく)。

※当ブログの斎教関係記事
・西華堂 (一) (二) (三) (四)
擇賢堂
擇賢堂と報恩堂

 在来仏教に関する項目では、台湾仏教が福建や広東と同様に禅宗+浄土教の混合形態であることなどが記される。そして、無学で社会的地位も低かったが、日本や中国に留学するなど変化しているとある。
 台南の開元寺の歴史において、駒澤大学への留学僧が大きな役割を果たしたことは知られている。一方でかつての黄檗寺は、仏教寺院だけど関帝を祀っていたというし、大観音亭や普済殿など、初期「仏教」がおよそ仏教寺院とは言い難い形で伝わっていたことも事実のようだ。日本輸入の宗派は根付かなかったものの、多少はポジティブな影響も与えていたのかなぁ、と読んだ。

※在来仏教
・開元寺 (一) (二) (三) (四) (五) (六) (七) (八) (九) (十) (十一) (十二) (十三)
法華寺(台南市)

・大観音亭 (一) (二) (三)
・普済殿 (一)
・萬福庵 照牆 (一) (二) (三)
・重慶寺(一) (二)
・台湾首廟天壇(黄檗寺関係) (三)
慈蔭亭


 さて、この報告書の面白いのは、日本統治以前の在来宗教について、「神仏又は祖先を祭祀する団体」「巫覡術士」という項目が立てられていることだ。どちらも台湾の信仰を今知る上でも、十分に役立つ内容だった。
 「神仏又は祖先を祭祀する団体」は、台湾の廟によくあるナントカ「会」の成り立ちを記した章。北港朝天宮の媽祖祭では、幾多のそういう団体を目にしていて、何となく想像はついていたけれど、これだけすっきり解説してもらえるとありがたい。
 何らかの理由で(職業とか同郷とか)同じ神を奉じる人たちが、特定の廟に属さない信仰組織を作るのを「神明会」と呼ぶとある。日本でいうところの「講」に近いと思われる。
 謝将軍や笵将軍といった神像を、こうした「会」が共同所有することも、昔からあったらしい。

 「巫覡術士」の項は必読。というか、この辺の項目は明らかに専門家の執筆だ。正直、一般人は読んでも理解できないのではなかろうか。最低でも巫覡を「ふげき」と読める人向けだな(ちなみにderorenは諸事情により読めるゾ)。
 巫覡については法師・符法師・童乩(乩童)・尫姨に分けて解説される。神懸かり関係の者で、法師と符法師はまぁキョンシーのイメージで考えれば良い(全くの一般人向け説明)。ただし符法師は法師より低級という位置づけで、より個人祈祷にシフトした存在とある。日本の民間宗教者の知識があれば、ああなるほどという感じの説明だ。
 童乩(乩童)と尫姨はより神懸かりに軸足をおいた存在。尫姨は女性限定で、死者語りをするそうな。イタコだね。

 術士については地理師・看日師・算命師・相命師・卜卦師に分類される。地理師はいわゆる風水の人。ただしここでの説明によれば、実際の職能はほとんどが墓地の選定であり、迷信を広めて金儲けしていると酷評されている。
 他はまぁ占いだ。日本の観光客も金払って無駄話を聞かされに行くよね。


 ともかく、観光客が読むような本ではない。そもそも台湾未体験者にはイメージし辛いし、一部は専門的過ぎる。さらにいえば、植民地統治に有益かどうかという視点で書かれていることや、当時の人類学的偏見がみえる点からすれば、安易に読んでほしくないというのが本音である。
 植民地というのは「本国のレベルに達しない未開の地」である。そういう差別意識を読み取れないような鈍感な人間には、とりわけ読んでほしくないものだ。

2011/05/18

台南食べ歩き観光客は必読。『24hrs 吃在台南』

。『24hrs 吃在台南』
 三冊の台南ガイド本を紹介するシリーズ、いよいよ最終回だ。tomopeeは右手をバタバタ動かすので、頬にすり傷がついている。相変わらず、本には全く関心がないゾ。でも将来は、これぐらいの本ならスイスイ読めるようになるはずだゾ(ああ親バカだ)。

 Darkbringer『24hrs 吃在台南』(晴天出版社2011.1)は、眠らない街台南の小吃を、それぞれの営業時間で並べたガイドである。もちろん牛肉湯から始まっている(最後の数軒は24時間営業だけど)。
 例によって通販の方法はこちら

 サブタイトルに「台南人的隱藏版美食地圖」とあるように、一般的ガイドブックに載らない店が多いのも特徴。我々が訪問した店は阿堂鹹粥無名豆花、そして振發茶行(リンク先は初回訪問時の記事)しかない。まぁ機会がないだけで知ってる店は、松仔脚など他にも数店あるけどね。
 前回取り上げた黄小黛『散歩阮台南』よりもさらに文字は多め。ただしそれぞれの店や料理について、丁寧に説明されている。時間をかけてでも読む価値はある。

 著者Darkbringer氏は「某外商公司技術經理」と名乗る台南人である。ハンドルネームのまま出版するというのが、いかにも今どきだなぁと思わなくもない。しかし内容を読むと、薄っぺらいブログモドキの文章ではなく、そこそこの教養に裏打ちされたものだ。あまり若くなさそうだ。
 海安路が芸術街になったきっかけは、かつての市長による乱開発だったとか、そういう歴史を軽くおさえておける点は良い。神農街を語るのに先斗町を出してきたりとか、京都に住む者にとってもなかなか興味深い部分がある。
 著者のブログの2011.5.17時点のトップ記事が福島原発だったりするのもね。

 お気楽な小吃の旅だって、台南が背負った歴史を知っていた方が断然楽しい。老店は古さを演出しているのではなく、本当に古いのだ。そういう深みに触れるガイドブックとして、derorenはこの本を推薦する。
 台南人にしか書けないガイドブック、そこに価値があると思う。



※D氏の福島原発記事の絡みで、いろいろ書いた内容もあるのだが破棄。ウチは安っぽく政治を語るブログではなく、台南観光ブログだ。その辺の一線は越えないでおきたい。