2011/06/18

泊っていいのか?、前市長!

 当ブログは、derorenが体験した場所だけを紹介している。従って、台南情報にはムラがある(具体的にいえば成功大学周辺など)。
 その気になれば手持ちの資料だけでも、その辺のガイドブックより詳しい紹介が可能だけど、体験していない内容を書くのは信頼性に欠けると思うので、書かないことにしている。

 もちろん、おのれの「体験」を無条件に信頼しているわけではない。というか、ウチを含めて、「体験」などそれだけでは何のアテにもならないのだ。
 本気で知ろうという努力を伴わない体験記なんて、未訪問者のコメントよりも価値がない。そうは思いませんか?


 世の中の旅行記にケンカを売るのはほどほどにしておくとして、体験した場所だけを紹介する場合、情報量が致命的に少なくなってしまうのが宿泊情報である。
 derorenらは、台南では首相大飯店の決まった部屋にしか泊まっていない。従って、首相大飯店の全容すらよく分からなかったりする。まぁビジネスホテルの全容を一宿泊者が把握できたら、それはそれで問題あるけどさ。
 台南旅行者にもそれぞれ都合はあるので、首相大飯店を選ばない人も当然いるだろう。derorenとしては、自分が首相大飯店を贔屓にする理由は示したので、あとは各自の判断で宿泊先を選べばいいのではないかと、ごく当たり前のコメントをしておく。

 ただし、泊まるべきではないと考える「宿泊施設」もある。
 少なくともderorenは、台湾政府の観光局が勧めない施設には、やはり泊まらないことを勧める。
 覚悟の上で利用した当人が、どんな事件に巻き込まれようと、それは知ったことではない。しかし、結局は台湾観光全体に悪影響が及ぶのだ。自己責任といって済まされはしないだろう。


 観光局が、絶対に宿泊しないよう呼びかけているのが、いわゆるレンタルルーム(日租套房)である。
 要するにマンションの一室をホテルの部屋のように使うもので、小綺麗なわりに安い。台湾で出版された一部のガイドブックには、広告が載っていたりするので、合法的な宿泊施設のように見えるが、許可されてはいない(というか、無許可で開業できちゃうのよね)。
 誰も監視していないマンションの一室なので、セキュリティに問題がある。そもそも部屋の合い鍵を使って、宿泊客が暴行されたなんて事件もあったらしいゾ。

 台湾といえば、20年ぐらい前に女子大生が高雄で殺されて、ワイドショーのネタになったなんてこともあった(とんでもない映像が流れたことで有名だ)。
 一人旅の人間が「台湾の人はみんな親切だ」と無防備に行動すれば、どこに泊ろうと深刻な事態に至る可能性はある。
 レンタルルームはまぁ、たまたま出会った人の家よりは安心だろう。しかしリスクが増えることにかわりはない。既に一部業者は日本語サイトすら作っているけど、絶対に泊まるべきではない。


 同じ理由で、ゲストハウスも勧めたくない。
 ゲストハウスにも、営業許可の出ている施設とモグリがあるらしいから、モグリは論外(日本人経営でも怪しいところがある模様)。
 その上で、盗まれてもいい荷物しかないなら、使ってもいいのかも知れない。ただしderorenは、火事になったら逃げられるだろうか?、とかいろいろ考えるので、泊まるつもりはない。窃盗のように明確な犯罪はさておき、寝たばこといったリスクについても、見知らぬ宿泊者のモラルに頼るしかない場所なんて、誰が利用するものか。

 ちなみに、日本のユースホステルは何度か利用している。ユースとゲストハウスは、似ているようで全く別物だ(ユースは沢山の窮屈な規則によって秩序を維持している)。
 施設の管理者次第では、ゲストハウスもそれなりの秩序は保たれるかも知れない。が、ろくな噂を聞かないゲストハウスを幾つか知っているので、辛口になっている。真面目に経営している人には申し訳ないが、まともな取り締まりのない台湾では、悪貨が良貨を駆逐するのも当然だと思う。


 営業許可が出ていても、本音をいえば避けたい宿は沢山ある。それは建物に対する信頼性の問題である。
 名前は出さないが、台北駅近くの某ホテルは、以前は非常に汚い安宿だった。しかし、大規模な改装によって、そこそこの値段の施設に生まれ変わっている……とだけ書けば、ポジティブに捉えることもできよう。
 しかしそのホテルは、大きなビルの一角で営業している。従って、改築工事がビル全体の強度にどのような影響を与えたかは定かでない。いや、恐らくは悪影響を及ぼしたのではないかと疑っている。
 derorenとhashiは、1980年以前に建てられたマンション(1981年に耐震性の基準が厳しくなった)に住むのが嫌になって引っ越しした経験をもつ人間だ(現在の住居は1997年完成)。
 まぁ数年前の某A歯事件で、日本の少なからぬホテルが営業停止に追い込まれたように、完成年度や外観だけでは強度なんて分からない。けどまぁ、素人でも推測可能なリスクぐらいは避けておきたいでしょ?


 ……と、ここまで読んだ奇特な皆さんは、まだ記事のタイトルに辿り着かないと苛立ちを隠せないのではあるまいか。リアルなderorenを知る者ならば、本題をなかなか言わない悪い癖が出ていると御立腹だろう。
 そろそろ種明かしをすると、タイトルの叫びは、最近購入したガイドブック『大台南72小時 這様最好玩』(墨刻出版2010.11)に対するものなのだ。

 このガイドブックには、合併した大台南市を二泊三日で旅行するプランが紹介されている。旧台南市内に関していえば不満もあるが、ライトなガイドブックとしてはそれなりの内容となっている。
 しかし、derorenとしては二つのポイントに突っ込まざるを得ない(要するに推薦できないので博客來のリンクも貼らない)。

 ツッコミポイントの一つ目は、巻末に見開きで載る台南市長のメッセージである。この「台南市長」は現在の大台南市の市長ではなく、民進党の候補者選びで負けてしまった旧台南市長だったりする。
 大台南市を紹介するガイドブックで、出版翌月に退任する旧市のアンタがなぜしゃしゃり出ているのかと言わずにはいられない。いや、確かに出版時点での「市長」はアンタしかいないけどさ(derorenは赤嵌楼で長々とスピーチを聞かされたので、出しゃばりなのは織り込み済み)。
 
 そしてもう一つが、日租套房の問題だ。
 この出版社のガイドブックは、以前に買った台北のものでも日租套房だらけだったが、このガイドもグレーゾーンもしくは真っ黒な施設が載っている。最近流行りの、民家を改造したタイプの宿泊施設も沢山紹介されているけど、これは許可を受けているのだろうか?
 そんな疑問を抱きつつページをめくった最後が市長の顔なのだから、タイトルの台詞を吐きたくなるのも当然ではないか!


 観光局の注意喚起とは裏腹に、大台湾旅遊網のような旅行ポータルでも日租套房は肯定的に扱われている。
 台中市が日租套房査察小組を作って取り締まるというニュースも流れているが、これも営業を停止させる方向ではなく、どちらかといえば安全という御墨付を与えるためではないかと思われる。
 まぁそもそも、台中というヤクザな街の話なので、真面目に取り締まるとも思えないけどネ。


 結局、derorenとしては「やっぱり宿泊はやめた方がいいのでは」としか書けない。自分が避けたい施設を推薦するのは不誠実なので、ね。

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