2009/08/30

西華堂(二) 正堂と拝亭

西華堂堂門
 拝亭の入口としての堂門。門と呼ばれてはいるが、拝亭・正堂とは一体化している。
 西華堂は清の乾隆十五年(一七五〇)に創建された、斎教(菜教)金幢派翁文峰系の寺院である。斎教とは簡単にいえば在家仏教なのだが、実際は日本でイメージされるそれとはかなり違う。
 日本では寺院にいる僧侶すら戒律を守っているのか怪しいけれど、斎教の信徒は在家といえども厳しい戒律を遵守している。菜教という別称は、要するに素食(精進料理)しか食べないという意味である(まぁ台湾の素食なら守れそうだが……)。

西華堂
 「西華祖堂」の額がかかる門。壁には鉄製の飾りがはめ込んであるが、これは壁鎖(鉄尺)といって、オランダ統治時代の遺風を伝えるものらしい。煉瓦造りとあいまって、何とも不思議な折衷建築である。
 また、正面の二本の石柱に何か彫ってあるのが見えるだろう。家々の門にも見られる「対聯」であるが、それぞれの句の冒頭は「西」と「華」だったりする。

※装飾などについては別記事で紹介予定

西華堂
西華堂
 堂内は奥行きがあり薄暗いが、明かり取りの窓が面白い(別記事で紹介する)。
 注目してほしいのは柱などに描かれた絵。花鳥、そして釈尊の生涯などが彩り鮮やかに描かれている。この細かさは台南でもあまり見ないものだ。
 なお、釈尊の絵のところでまた二本の石柱が建っている(ここも「西」「華」である)。柱の奥が正堂で、手前が拝亭となるだろう。

西華堂釈迦三尊像
 本尊は釈迦三尊。ただし釈尊の両脇は阿弥陀と薬師らしい。この三尊を中心に、観音と地蔵が供奉するのだと、『台南歴史深度旅遊』にも書いてある。

 そもそも斎教は在家仏教には違いないが、正確にいえば仏教・儒教・道教の良い部分を取り込んだものである。実際、仏法僧を尊び、五戒を守り、仁義理智信を理想としたりするわけである。
 書物に載る写真では黒づくめの衣装で拝んでいたりするし、どうにも難しい宗教である。一応、仏教については臨済宗の流れらしいけど、もうそういう出自で語れる状況ではなさそうだ。

0 コメント:

コメントを投稿