開基霊祐宮のある赤嵌街は、オサレな飲食店が並ぶ台南市の繁華街である。
「なべやき」の文字が燦然と輝く店の前を通り過ぎる。ここは長い夜の始まりを待ちわびた、熱き獣たちの集うエリアだ。PC画面の前の坊やたち、今夜はもうおとなしくおねんねの時間だぜ。
見よ!
若さと欲望を抑えきれない者どもが、叫び声とともに現われたぞ。飛べない翼に意味はあるかと問いかけながら!
さらに奥に進むと、黒光りするボディを見せつけるヤツも現れた。
暗闇のハンターが今宵狙う獲物は何だ?
ここまで深入りしては、もう我々にも後戻りはできない。相棒と目くばせを交わし、身の危険をも顧みずこっそりと後をつけた。前へ、ひたすら前へ!
ヤツは我々の尾行を嘲笑うかのように、狭い道の歩道を行ったり来たり。
闇夜に身を隠しながらも、きちんと交通規則を守る辺り、プロの貫禄が感じられた。
気がつくと我々は危険なエリアを脱していた。我々にはまだ早いという、ヤツの心配りだったのかもしれない。結局我々はヤツの目的を掴むことができず、空しく時は過ぎた。
今宵も次の獲物を求めて、ヤツはその重量感溢れるボディを武器に、赤嵌街を跳梁跋扈しているに違いない。
まぁしかし、70万都市のど真ん中でこんな景色に出逢うとは思わなかったぞ。
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