食事を終えた我々は、ひとまず大雄宝殿を目指す。目指すまでもなく目の前にある。
本殿を大雄宝殿と呼ぶのも、台南の寺院と同じである。
正面から見た大雄宝殿。見るからに中国っぽい色の何かがあるゾ。
まぁそれが何かは分かっているけれど、実見はしてないので、期待に心を躍らせつつ、華麗なステップで近づいてみる(かなり誇張されている)。
そこにあったのは張りぼての宮殿だっ!
謝将軍と范将軍だっ! お久しぶりっ!
冥界に向かう者の善悪を判定する陰陽司。そこにしっかり両将軍が居座っている。
一見大吉の謝将軍は、ちゃんとベロを出している。
奨善罰悪の范将軍は……、やっぱりベロを出している。うーむ?
反対側には功徳司もいる。
となれば当然、中央にはこの神がおられるだろう。
城隍神だ。そう、ここはまさしく張りぼての城隍廟であった。
普度勝会とは仏教における盂蘭盆会のような行事で、祖霊をただしく祀り、現世の子孫の繁栄を願うものである。
普度はもちろん仏教の言葉。だから万福寺で開催されるのは自然にも思えるが、あくまで主催は在日華僑の団体で、ここを会場として借りる形のようだ(関西ではここと神戸の関帝廟で開催される)。
万福寺の僧によって読経も行われるので、仏教寺院で開催される意義はある。ただし祭礼としては、道教色が強い。少なくとも張りぼて宮殿の数々は、台湾の陰廟そのものである(裏の方には地獄図もあった)。
……もっとも、仏教と道教を区別する発想自体が、ここでは野暮なのも事実。
そもそも万福寺には、伽藍神という名で関帝が祀られている(台南の大天后宮でも、門神の伽藍を関帝の化身としている)。中国的な仏教が儒仏道の三教一致に向かったことは周知の通りで、そうして生まれた黄檗宗なのだ。内部に城隍廟が出現しても、なんら不思議ではない……のかも知れない。
これら神々の宮殿の左右には、それぞれの家の祖霊屋敷が並ぶ。台南東嶽殿を彷彿とさせる豪邸だが、東嶽殿よりもさらに派手である。
ただ、門前には外車が停まっていたりするけれど、冷蔵庫やテレビは見当らない。打城法事のように、ことさらに現代的かつ裕福な生活環境をアピールするわけではないようだ。
穏やかな冥界ライフをおくっているここの住人と、今まさに救われようとする不安定な霊の違いなのだろうか(思いつきで書いている)。
さすがと思ったのが、この「冥宅契約書」。ちゃんと住所は万福寺になっているゾ。
そんなわけで、宇治に居ながらにして台南気分を満喫するtomopee。張りぼて宮殿の前で記念写真も撮ったが、さすがにバカ過ぎて載せられないぜ。
ちなみに、後ろ姿ながら不肖derorenが写っちまったぜ。その三に続くぜ!
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