2009/05/03

帰国ぎりぎりまで台南を歩く(5/3)

 あっという間の帰国日。なんだか実感がない。というか、帰りたくないなぁ。
 今日は桃園に行かねばならないので、時間はごく限られている。朝食はホテル(首相大飯店)で軽く済ます。4泊しておきながら初めて食べたぞ。グルメも満足というほどではないけど、生ジュースも飲めるし粥もあるし、別に文句をいうレベルでもない。
 というか、ここで無理を言ってスターフルーツを切ってもらったから、感謝感謝である。総じて、ホテルの人たちは親切だった。首相大飯店にみんなで泊まろう!

 ホテルからタクシーで開元寺へ。台湾を代表する古寺であるだけでなく、ここは台南行きを決意するきっかけとなった「台南・ダイアリー」ゆかりの地。何がなんでも行かねばならなかった。
開元寺
 南国のお寺はなんとも不思議な空間だ。寺の両隣は保育園と病院で、いかにもお寺という感じ。境内のガジュマルやボダイジュの樹下には、車椅子の人が何組かいる。病院から外の空気を吸いに来るのだろう。
 樹下は心地よい風が吹いて、時を忘れてのんびりできる。幸いにして一度も雨に降られなかったし、湿気が少ないのもいい。
 まぁ開元寺の記事は別に書くつもり。相方の姿が見えなくなったと思ったら、お勤めに混じっていた。私も混じりたかったが、既に席が埋まっていたので外で見学。信仰心の有無はともかく(一応、私の実家は曹洞宗だな)、勤行を眺めるというのは虚しいものである。

 大通りの開元路まで歩いてタクシーを拾う。次の行き先は海安路と民族路の交差点だ。神農街など五條港文化園区を見て、水仙宮のある市場をぶらつくというのが最後の台南歩きとなった。

大竹林汾陽殿
 で、いきなりタクシーを降りたらパレードに出逢う。実は昨日も別のところ(林百貨店のとこ)で遭遇していたが、今回はまぁアレだ、廟の左右でたすきをかけて、いつも選挙演説中みたいな御方が歩いていたぞ。
 謝将軍も范将軍も、まさしくお廟にいるまんま。というかお廟に鎮座しているのは仮の姿で、中に人が入って練り歩くものだったとは。台湾の信仰は底が知れないなぁ。

 なお、探したらyoutubeに載せてる人がいたので紹介しておく。我々が遭遇したのと同じ日の大竹林汾陽殿の一行である。ずっとついて周ったらこんなのも見れたんだなぁ。

 さて、ともあれ一行はトラックに乗って爆竹鳴らして去っていったので、我々も移動する。
 海安路と神農街の交差点付近は、古い建物の壁にいろんな絵が描かれて、ちょっと小洒落た店もある。最近売り出し中の場所らしい。そこから神農街を進み、途中の金華府を拝み、前方に見えた薬王廟へ。
 薬王廟は高層ビル(3階建だ)。ビルにはちゃんと集会所などの施設もあって、狭い敷地を有効利用している。ただし3階からの見晴らしはそれほどでもない。なぜなら、周囲の家も軒並み高層化しているからだ。
 台南は(台南に限った話ではなかろうが)本当にコンクリートのビルだらけ。古本屋で二階に昇ろうとしたら、階段が歪んでいてクラクラした。市内の住環境は結構大変なんだろうなぁ、と思う。

 そこからかつての台南の西端、接官亭(風神廟)へ行き、市場へ。
 実は我々は、残り少ない時間(リミットまで一時間)の中で江水號へ行きたいと考えていた。が、前日にネットで見た住所がまるでアテにならず、仕方なく市場で筆談してみるも、結局辿り着けなかった。
 帰国後に確認した結論としては、お店の人はそれなりに正確な場所を教えてくれたのではないかと思われる。とはいえ、「点滅信号の二筋先を左折」の二筋がどこを指すのか確認する余裕はなかった。今度の旅への積み残しだ。
 ………また行けるのかなぁ。行きたいなぁ。

 市場の中央に埋もれる水仙宮を拝んで、市場をぶらついてそろそろタイムリミットが近づいてきた。しかし我々は飯を食わねばならぬ。そこで市場に隣接する有名店でテイクアウトすることにした。
 金得春捲は、その場でいろんな具(でんぶらしき甘いものから豚肉、臭豆腐、キャベツなど)を巻いてくれる生春巻。安くてボリュームもあって、なかなかうまい。こちらはあっさり買えた。
富盛號
 問題は隣の富盛號である。碗粿の超有名店は大行列。一度に蒸し上がる数には限りがあるし、予約も入っているし、店内で食べる客もいる。ここでずいぶん時間を食った。現地人が無理矢理おばちゃんと交渉して先に食べようとしていたが、さすがに我々には真似できないのでただ待つのみ。ほぼタイムリミットの時間にようやく入手できた(時間があって席が空いていたら、その場で食べるのが一番)。
 テイクアウトの二品は、高鐵のホームで食べた。碗粿は予想以上にうまい。弾力のある生地に甘めのタレがかかって絶品である。これは並んででも食べる価値がある。

 その後、タクシーでホテルに戻り、預けてあった荷物を受け取ってまたタクシー。「シンカンセン!」で通じた。すごいねぇ。
 高鐵はなんと指定席が取れず、渋々自由席へ。実は指定席35%割引の最終列車だったので、自由席の方が高いのである。まぁ台南駅の時点ではガラガラだったからいいけどさ。
 疲れ切った私は車内で寝てしまい、気がつくと桃園駅。自由席も混んでいた。なんというか、新幹線と何も変わらぬ利用をしてしまった。

 桃園駅からはバスで空港へ向かう。大名旅行だったので、実はこれが初のバス。短い時間ながら三列シートのバスを体験して、ちょっとご機嫌になる。
 が、空港に着いて焦った。携帯電話の返却スペースが見つからないのだ。実は返却スペースは二階なので、一階のチェックインカウンターでいくら探しても見つかるわけはなかったのだが、ここで時間をロス。
 それでもどうにか無事に返却、ついでに新東陽で残った台湾ドルを捌かすべくお土産を買った。そしたら出国審査の大行列で、どんどん出発時間が迫る。焦りまくって、どうにか脱出。向かって左奥のブースが早いぞ。
 結局、本当にギリギリで搭乗した。空港の写真を一枚も撮ってないのだから大変だ。まぁ搭乗便の出発を遅らせてはいないので、許しておくれやす。

 帰国便はあっという間に日本に着く。地上に降りてから空港内をぐるぐる周る時間が長かったぞ。
 で、インフル騒ぎの空港でチェックシートを記入して、どうにか日本国内の人となった。どうにか、とは言ってみたが、あっけない話だった。
 空港で飯を食って、ラピートから鉄道を乗り継いで、午後11時ぐらいに帰宅。帰りの車内ではちょっとのどに異変があった。インフルのせいではなく、どうも日本の空気に慣れなかったせいのようだ。
 ああ、台南は良かったなぁ。これを書いてる今も、まだ時々台南気分が抜けなかったりする。もう仕事したくねぇっす。

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