※前半はこちら。
振發茶行から向かう先は清水寺。もちろん京都の寺とは関係がなく、清水祖師を祀る廟である。その門前には萬川號と並ぶ肉包の有名店の禄記もあるので、さぁ食べくらべだ……と勇んで歩いたが、なんとここも休業。しかも昨日と今日が休業だ。阿憨鹹粥と同じパターンなので、何かあるのかなぁ、と清水寺へ。
「寺」という感じのしない本堂はそもそも工事中で、本尊はそばの建物に待避していた。台南は方々が工事中だ。日本統治時代の建物や神農街のような街並みには、ある意味の選挙対策として公費が投じられているわけだが(なお許市長は候補者選定で敗退した)、こうした廟宇も補助金があるのかな?
總趕宮みたいに寄付を呼びかける所もあるので、よく分からないけれど。
そこから開山路を歩き、馬公廟、臨水婦人媽廟を訪問する。臨水婦人媽廟では、去年訪問した時に出産祈願の祈祷らしきものを見たので、今回も……と思ったら、ここも工事中。拝拝はできるし、おばちゃんが祈祷はしていたけれど、ずいぶん狭くなっていた。
さて、臨水婦人媽廟の向かいは延平郡王祠である。二人とも全く関心はなかったが、オウコチョウが咲いていたので撮影。ついでにトイレを借りたりして、そのまま境内をぶらつく。
中にはちょうど日本人観光客の団体がいた。かなり大人数で、四つぐらいに分かれて回っていくのを、しばらくの間観察する。日本人観光客は、記念写真を撮ることもなく整然と見学を続けていた。
団体客のなかで鄭成功を知っていた人がどれほどいるかは分からないが、信仰と無縁の「祠」は、わざわざ遠くから訪れるほどの価値がないと思う。ここは地元人が子どもを連れて遊ぶ公園である。
そうして道路に出たら、見るからに怪しい人々がいた。どこかの学生が、たぶん絵画の構図を演じているようで、自分たちでしきりに写真を撮っている(内輪で楽しんではいかんだろ、とも思うが)。日本人観光客は図々しいので、混じって写真を撮った。台南で日本人観光客の評判が落ちていないことを祈るぜ。
しかしこのパフォーマンス、歩道を使っていたので、ゲリラ的なものだったのかも。けしからんので、どんどんやるべきだ。
そこから馬公廟方面へ。廟のそばには友誠蝦仁肉圓がある。ここは一部の日本語ガイドブックに載っている店だが、地元民の評価は武廟肉圓(リンク先は去年の記事)らしいと聞いて今までは割愛していた。しかし一度ぐらいはエビ入り肉圓を食っておこうと、ここで入店。
日本語ガイドブックに載ってるとはいえ、日本語が通じる気配はなかったが、ともかく蝦仁肉圓と香菇肉羹(椎茸と肉のとろみスープ)を頼む。肉圓のQQ感は武廟肉圓の方が上。とはいえ、あちらは考えようによっては「固い」わけで、甲乙はつけがたい。香菇肉羹も普通にうまいスープだし、じゅうぶん満足の味だった。
そこから人通りの少ない府中街へ。しばらく歩いて、適当に路地に潜ってみる。目的地は永華堂だったが、例によって適当だったので一本通りを間違えていた。まぁすぐに見つかったからいいけど。
永華堂では、おばさんに話しかけられた。最初、ずっと「國語」で話しかけてくるのを、しばらく黙って聞いていた。どこまで理解できるだろうと試してみたかったわけだ。結果、全然分からないので(とほほ)日本人である旨を説明。すると、今後は英語で解説を始めた。
英語もロクにしゃべれない我々なので、状況はさほど変わったわけではない。ただ、永華堂の由来についてしゃべっている、とは理解できたので、手元にあった陳永華の解説のコピーを見せたら、これこれ!と頷いてくれた。
それにしても、我々は京都の寺院で台湾の人がうろうろしている時に、寺院のことを教えてあげようと思うだろうか? 日本語が通じないので英語で解説を試みるだろうか? 自分たちの神様として信仰されている陳永華は果報者でござるよ(なお彼については金傭『鹿鼎記』を読めば、やや間違った知識とともに知ることができる)。
再び府中街に出て、そのまま孔子廟へ。「鶴瓶の家族に乾杯」の冒頭、鶴瓶と鈴木杏が出逢った場所だが、有料部分は去年見たので、リスを眺めた程度。
そこから台南神社跡の公園を抜け、莉莉水果店で野菜ジュースと豆のかき氷を食す。ここのシステムはまず空いている席に座り、店頭に置いてある注文用紙に席の番号と注文する品を書いて、店頭で精算する形。あとは席で待っていれば運んで来てくれる。なかなか合理的なシステムである。
ここはうまいだけでなく安い。裕成水果の半額程度じゃないかと思う。この日もお客でいっぱいだったが、これなら流行るはずだ。
孔子廟方面に戻り、路上で将棋らしきものを楽しむ人々を眺めつつ(上の写真はプライバシー保護のためではなく、最初からぶれている)、ぶらぶらと湯徳章紀念公園の円環へ。あとは最後の目的地、開隆宮を巡ってホテルに戻る日程だ。
十六歳になったらお参りする宮として有名な開隆宮だが、逆にいえば十六歳とは縁のない我々なので動機に乏しい。それが今まで訪問しなかった理由であった。が、諸事情あって今回は拝拝。呉園からほど近いこの廟で、台南観光の日程を終えた。
あとは、とぼとぼと首相大飯店まで歩き、預けてあった荷物を受け取る。一昨日歩いたばかりの台南駅までの道のりは、夕暮れ時なので寂しい。また台南に来れるといいなぁ。
台南から自強號で向かう先は嘉義。まさに一昨日乗ったばかりなので、道中は何の問題もなし。まぁ40分しかないから、問題は起きようもないか。
強いて問題と言えば、我々の前に座っていた女性の僧侶が、車中で電話したことだ。いや、電話は許されている行為なので、非難しているわけではない。なぜか電話の時だけ、たどたどしい日本語になったことに驚いたのだ。
残念ながら対面でもない僧侶と話す機会はなかった(僧侶二人でずっとしゃべっていたし)が、意外なところで日本語を耳にするものだ。
嘉義駅から皇爵大飯店までは、荷物が軽ければ5分程度。駅前の地下道がどうにも面倒で、時間を食う。台南駅前もそうだが、駅前が歩行者に優しくない印象(歩行者に優しくないのは、どこでもそうか)。
チェックインは20:00頃。とりあえず部屋を確認して、荷物を置いてすぐに外へ出る。晩飯を食わねばならない。
晩飯の店は、噴水雞肉飯にした。もっとうまい店があるという情報もちらっと読んだ記憶があったが、ほとんど嘉義について調べてなかったので、とりあえず有名店という選択であった。
ホテルから噴水の円環までは10分ほど。アーケード街はメガネ・時計・宝石の店がやたら目立つ。この通りはそういう場所なのだろうか。
噴水雞肉飯はやたら奥に長い店だった。客が少ないのが気になったが、ともかく入店して雞i絲飯、紅糟肉、苦瓜湯などを注文。ここは指さし注文も難しいので、筆記になった。ちなみに、筆記で伝える時は、できるだけ文字を大きく書くと良いゾ。
雞絲飯はほぼ予想の範囲内の味だったが、じゅうぶんうまかった。ただし、ちょっと油っぽい気はする。苦瓜湯と一緒に食べると、その辺は気にならなくなった(苦瓜は相当に苦いぜ)。紅糟肉は二人で奪い合いになるほどうまい。オススメ。
雞肉飯は明日も別の店で食べくらべしよう!、と心に誓って、すぐにホテルへ戻った。
部屋に戻ったのは21:00より前。通常ならば、夜市でも行くかという時間だが、今日はシャワーを浴び次第就寝というスケジュールだ。
明日の起床は、なんと4:50。5:20にはタクシーに乗り、北港朝天宮に行く予定である。嘉義への宿泊は、6:00からの祭事に間に合わせるためだけにあったのだ。
※いよいよ残りは最終日のみ。もうほとんど書いてあるよ。
なお、個別の記事は初日から順を追って掲載予定。「ここを先に紹介してくれ」とリクエストがあればコメント欄にどうぞ。
0 コメント:
コメントを投稿