目覚めは快調だ。今日はしかし、早くも首相大飯店を去らねばならない。名残惜しいなぁ。
今回もこのホテルでは気持ちよく過ごすことができた。設備もそうだが、ホスピタリティこそがこのホテルの魅力である。
ともかく、まずは朝食に出かける(チェックアウトせず)。今日こそは阿憨鹹粥でサバヒーだ―――と勇んで出かけたら、またも店は閉まっていた。何ということだっ!
がっくり来たが、すぐに諦めて(そもそも悩みようがない)北華街と公園路の交差点に戻る。阿憨鹹粥で食えないのは予定外とはいえ、去年通りがかった西華堂近くの店でも食べてみたいと思っていたのだ。
何件かあったなかで、伊荳生活精緻早餐館に入店。香腸の漢堡(ハンバーガー)、蛋餅、豆漿などを頼んでみる。香腸入りの漢堡はどんな味なのかと思ったが、ほんのり台湾風味ながら違和感のないハンバーガー。うまいじゃないか。
今日も機嫌良く食事を終えて、西華堂を表敬訪問。
相変わらず暑い日の朝、去夏は爛熟の盛りだった龍眼は、ちょうど花盛り(ただし全然目立たない)。蓮霧の大木には、花も実もたくさん見える。もちろん門の前には、まだまだ小ぶりの波羅蜜があった。
のんびりと本尊を拝んでいたら、女性の僧侶の方が現れる。そして何度か行き来する中で、白湯をいただいたり、組紐(ミサンガみたいな輪っか。名前は何というのだろう?)をもらったりした。組紐は明らかにその人の手作りと思われるもので、とても恐縮した。
ただし私の細腕にははめることができず、hashiは腕に、derorenは指先にまいたわけである。うーむ。
西華堂からは北忠街を西へ戻り、そのまま無名豆花(リンク先は去年の記事)へ。今日は開いていたが、前回同様に誰も客がいない。やはり豆花を食うには時間が早すぎるのだろうか(10:30ぐらい)……と思いつつ珍珠豆花を食べていると、次々とお客がやって来て、小さな軒先のテーブルは埋まってしまった。本当に近所の人たちが食べに来る店なのだなぁ、とちょっと安心した。
そこからホテルに戻る途中で、玉皇宮にも寄った。例によって、シャツを広げて何か拝んでもらったりする人はいたが、この日の境内は比較的静かだった。どうも童乩の活躍する場面を見たければ、朝一番に行かなければならないようだ。ほどほどに廟をあとにして、ホテルに帰還。
ここで荷物をまとめたり顔を洗ったりして、チェックアウト。お願いして、荷物は預かってもらった。最大で20:00ぐらいになるかも、と無茶なお願いをしたのだが、首相大飯店は快く引き受けてくれた。やはりいい宿だ。
ついでに、阿憨鹹粥について何か情報を知らないか?、とフロントの小姐に聞いてみたが、荷物を預けた兄ちゃん(日本語文の中で「先生」と書くのは難しいな)と顔を見合わせて、返ってきたのは「たまたま休み」だったのではないかという悲しい答えだった。うーむ、まさか経営者が日本人ってわけでもないよなぁ。
ホテルからはタクシーで、いきなり阿美鳳梨酥(邱恵美鳳梨酥)へ。何もタクシーで乗りつけることはなかろうと思うだろうが、そこから東嶽殿方面に引き返すのが一番楽である。
で、阿美「鳳梨酥」で当然のように鳳梨酥を買おうと思ったら、店頭にはカステラケーキの類しか置いていない。もしかして奥に何かあるのか?、とうろうろしたものの、何もなし。お店の人がカステラケーキの味見をさせてくれたので、それはそれで試食して、ふわふわしてうまかったが、日本に持ち帰るのはちょっと難しい。仕方なく拙い「國語」でふぉんりーすーと聞いたら、店の人はそばの棚から化粧箱を取り出した。
どうやら日常的には、ここはカステラケーキの類を買う店のようだ。とはいえ有名な手作り鳳梨酥も、頼めばちゃんと売ってくれる。一般的なものより一個一個が大きな鳳梨酥は、外側の部分がしっかりしていて、なかなかうまかった。ただし一個一個が大きいから、カロリーも高そうだ(余計な一言)。
この店は市場の入口に面していたので、そのまま市場を歩いて、東嶽殿を訪問。しかし正午の東嶽殿では打城法事も既に終了しており、特別に見るべきものはなかった。早々に廟をあとにする。
東嶽殿といえば振發茶行(リンク先は昨夏の記事)の近所なので、当然茶を買う予定だったが、いったんは素通りして民権路と青年路の交差点へ。
ここには萬川號がある。肉包を2個買って食べてみる。感動の味というほど印象には残らないけれど、まぁうまい……が、何も肉包を食うためにお茶を諦めたわけではなく、目的地はコンビニだ。
何のことはない、手持ちの現金が少なくて、お茶を買うのに不安があったわけである。
今回の旅では、空港での両替額がたった2万円だった。ホテルと高鐵、それから台北でのマッサージがカード払いとはいえ、それで足りるわけはない。なので足りなくなったら随時クレジットカードでのキャッシングを利用した。
キャッシング可能なATMは駅などにあるし、銀行、そしてコンビニATMも使える。手数料と利息はかかるけど、空港両替でも手数料は取られるし、海外でのキャッシングは一ヶ月以内の一括引き落としなので利息も知れている(そもそも一度のキャッシングは1万円程度だ)。
空港で大量に両替した場合、最後は余った台湾ドルを再両替することになる。二重に手数料を取られる上に、レートも悪い。大量の現金を持ち歩くリスクも避けられるので、今後もキャッシングを利用するだろう(例によって、次の旅はずいぶん先になろうが)。
結局、コンビニは府城隍廟の前にしか見当らなかった(そこは以前も利用したので知っている)。残り日程を考えて少しだけお金をおろし、府城隍廟はパスして(もう隅々まで見学済み)振發茶行へ向かう。
店には先客がいた。そして、去年の夏に写真を見せてもらった孫の姿もあった。どうやら孫夫婦もお店に詰めているようだった。
先客が帰るのを待って、さっそくお茶を頼む。
厳じいさんはまだまだ元気で、安心した。そして孫夫婦がいるにも関わらず、厳じいさんはお茶の選定をすべて一人でやっていた。孫には、お茶を入れる箱を持ってくるよう頼んだだけで、あとは自分でやるのだ。何というか、じいさんのプライドを見た感じだった。
じいさんの絶技もみた。文山包種茶を計り売りする際に、ざっと紙に取り出したお茶の葉を計りにのせたら、ほぼぴったり300gだった(上の写真)。拍手と歓声が上がったものであるぞ(上げたのは我々だ)。
そんなわけでお茶を買って店を出る。我々の後にも客がやってきて順番を待っていた。ガイドブックに「日本人が大勢やってくる」と書かれる店だけど、百年老店の代表格として有名なだけに、台湾の人もけっこう訪れるようだ。たぶん頑固な厳じいさんがいつまでも元気にお茶を売ってくれるよう願うばかりである。
※後半につづく
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