※三日目前半はこちら。続き物でござる。
しばらくは進香団の様子を見学していた我々だが、やがて門前ではなく横の方から大きな音がするので、そちらへ向かう。すると、朝天宮の出巡遶境の行列がちょうどやって来たところだった。
朝天宮の行列は門前を出発して、街中をぐるぐる巡るので、何度かお宮の近くをかするのだ(ホームページに情報があった)。待ってましたとばかりに二人で駆け寄った。
出巡遶境には、この目で見たかったデフォルメ軍団もいる。達磨は三人酔っぱらっているし、虎爺の一団はちゃんと縞模様の衣装で歩いている。おおこれがそうなのか、と写真を撮りまくる。
挙げ句の果てにバイクに乗った神様が、我々を見つけてピースサインだ。思わず撮影してからお辞儀してしまった。なんという無茶な巡行だ!
……とはいえ、伝統的な祭礼でも牛車や馬に乗ることはあるだろう。要するに、その時の便利でナイスな乗り物を利用するに過ぎないのだから、むしろ馬鹿正直に歩く日本の神々の方がアレなのかも知れない。仏の世界は宝で埋め尽くされている、と仏典にもあるわけだし。
ただし、行列はなかなか進まない。それもそのはずで、目の前のお店の人がスイカを振る舞うので、一団ごとにそこで止まってしまうのだ。
しばらく見続けていたものの、このままではいつまでかかるのか分からないし、たぶん他の場所でも出逢うだろうと判断、いったんその場を離れた。
で、別の進香団の様子を眺めつつ、午後4時台に突入。
それにしても進香団の爆竹は凄まじい。御輿に対する爆竹は、どう見ても拷問以外の何者でもない。箱単位で火を付けるアバウトさは、ちょっと日本では考えられないものだ。
とはいえ、この日の爆竹はまだ大人しかったのだと、後日知ることになる。少し離れた堂内にいても恐怖を覚えるほどのヤツを体験してしまったゾ。
そろそろ街の様子を見てみようと、門前の道を歩いてみる。できれば飯にありつこうという考えでもあった。
北港の小吃については、「食尚玩家」の『全台小吃』や、ネットの大台湾旅遊網である程度は確認していた。ただ、店の場所がよく分からなかったり、行けるような状況ではなかったりで、計2店で食べたのみ。
他では酸梅湯(冷えたやつ)を飲んだ。これまで飲んだ酸梅湯(以前に夜市で買ったのみ)より遙かにうまかった。
門前の道は洋風建築物が目立つ。立派に老街と呼べる感じである。あらためて北港の街の大きさを感じる。
食べ物の店は、麺線糊(軟らかく煮込んだ素麺みたいなもの)、担仔麺、鴨肉飯などがあった。そのなかで、鴨肉の店に「百年老店」「鴨肉飯創始店」なんて文字もある。
我々はこういう宣伝文句に弱かった。ちらっと覗いてみたら店内にお客がいて、そこそこ流行っていそうなのもポイントだった。全会一致(二人だ)で決定し、入店する。
まずまず清潔な店内で、鴨肉飯、魯鴨翅、鴨肉切盤などを注文。これがまたうまい。鴨肉飯はもちろん、魯鴨翅(手羽の部分を煮込んだもの)は取り合いになったゾ。
やがて、隣のテーブルに女の子と父親が座る。その女の子は顔が真っ白に塗られていて、いかにも何かの役という感じだった。
ちょっと不機嫌そうにも見える女の子に鴨肉飯を食べさせる姿を見ているのは、何とも微笑ましい。と同時に、ああここで食って良かったなぁ、と思った。
ちなみに彼女は藝閣に乗っていたと思われる。残念ながら、どこにいたかは判別できなかったけど。
腹を満たして、ついでに門前の店でお土産も買って、再び朝天宮で拝拝を見学。相変わらず定期的に進香団の人たちがやってくる。媽祖像はお参りしたよ、という赤い襷を掛けられて帰っていく。千里眼や順風耳たちも同じ。その様子はどことなくコミカルだが、見ようによっては本当に媽祖や両将軍がやって来たみたいだ(そういえばyoutubeで媽祖のアニメを見た。あのノリはやはりすごい)。
再びお宮を離れて、今度は義民廟を見学する。通り一つ奥に入っただけで、拝拝の喧噪は嘘のようだ。義犬将軍の新聞記事なんぞを眺めて、戻れば再びテンションが上がる。
そして6時半。夜のイベントの幕開けだ。
藝閣とは文字通り藝術の閣といったところ(なお、このブログは台湾からのアクセスもあるので、「芸」という字は使用しない)。現在のそれは、大型車の上に煌びやかな電飾と、それに劣らないほど煌びやかな女性を乗せている。大半が子どもなのは、恐らくは風紀上の問題だろう(少なくとも先頭の一台は大人が乗っていた)。
しかし、どの飾り付けもやり過ぎとしか言いようのない凄まじさ。地上3mぐらいのところで子どもが宙吊りになって、ぐるぐる廻っていたりするのは、当人にとってものすごい恐怖なのではないかと思う。
しかも門前には進香団もやって来るので、藝閣のそばで爆竹が鳴ることもしばしばだ。年に一度の苦行って感じがする。
でも見てる側には楽しいのである。紅白歌合戦のあのバカバカしいイベントを生で大量に見ているようなものだ。千手観音なんて見たら、小林幸子を思い出さずにおれようか。
もうちょっと見学する予定だったが、ここで疲労がピークに達し、リタイア。嘉義客運のバスターミナルへ向かう。その途中でも、そこかしこで行列に遭遇した。いったい街中でどれほどの集団が歩き回っているのか、とても把握できそうにない。
バスターミナルでチケットを買って小休止。トイレを借りて(あんまりきれいじゃないが)、ついでに目の前の店で珍珠仍茶を買ってバスに乗る。
北港からバスで約45分、嘉義駅で降り損ねて、そのままターミナルまで乗り通した。まぁ後日の宿泊先を見ておきたかったので、降り損ねたというのは語弊があるけれど。
嘉義市の中山路にあるバスターミナルから、駅までは5分程度。その中間でホテル(皇爵大飯店)の位置も確認した。台南に泊まった後、最後の一泊は嘉義なのだ。
嘉義から台南までは自強号で移動。実はこれが台鐵初体験だ。
自強号の乗り心地はなかなか良い。プッシュプル方式は静かだなぁ、と感心する。スピードが出ていないのもあるだろうが。
駅を通過する際には、かなりの割合で減速していた。台湾で一番の幹線なのに、高速化が進んでいない。国民党政権が台湾に投資しなかったツケだろう。
高鐵が出来た今となっては、もう高速化事業なんてないのだろうか。嘉義と台南、あるいは台南と高雄であれば、まだまだ台鐵に勝目があると思うけど(バスに負けてるのかも)。
台南駅から歩いて首相大飯店へ。到着は22:05だった。長い長い一日はようやく終わり、いつもの部屋(予約時に部屋を指定している)で巨大な荷物から解放されたのであった。
※概略はやっと半分が終わった。長いねぇ。
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