『台南―台湾史のルーツを訪ねる』(日経BP 旅名人ブックス)は、台南に出掛ける上でずいぶんお世話になったガイドである。しかし何せ間違いが多いのが玉に瑕。見つけた範囲で訂正しておきたい。
※2010年2月増補。
・目次、帯、P154,158,159など
「崇文街」→「崇安街」
ひどいミスである。実はP76の地図だけは合っている。嘉義市には「崇文街」もあるが、おそらくは「重道崇文坊」と混同したのであろう。
・P105
「一九一九年(大正八年)に完成した」
一九一九年は蔡草如が生まれた年である。
・P105
「風調順雨」→「風調雨順」
直前の説明通りに書けば良さそうなものだが。
・P115
「赤免馬」→「赤兎馬」
初歩的なミス。
・P141
写真のキャプション「法草寺」→「法華寺」
・P156、157
「赫亦」→「赫奕」
郭嘉の息子が泣くぞ。
・P161
「康楽路」→「康楽街」
間違いかどうかはともかく、現在の地名としては不適当。
・P253-256
住所表記が全く統一されていない。区を書いたり書かなかったりするだけでなく、今は存在しない「中区」、合併後の「中西区」が混じっているのには呆れる。現地の住所表記は確かに混乱している(たぶん区名は書かなくとも支障がないのだろう)が、日本のガイドブックでそれを踏襲する必要はない。
なお、これは誤記とは質の違う問題だが、「台南四大扁額」とはどこで呼ばれているものなのか確認できない。台南の「三大名扁」ならば現地ガイドにも載っており、一般的には「一」「了然世界」「爾來了」である。
ただ「大丈夫」を加える説もあるようで、その場合は他のどれかを外して「三大」である。なんというか、山形市が主張する「東北四大祭り」ではあるまいし、少なくとも「四大」はないだろうと思う。
もう一つ、鹿耳門の問題についてはこちらの記事に書いた。
台南四大扁額
返信削除祀典武廟「大丈夫」
天壇「一」
府城隍廟「爾來了」
竹溪寺「了然世界」
(出典)
http://www.epochtimes.com/b5/8/12/5/n2353010.htm
http://twmotel.com/motel_landscape.php?Member_sn=293
他
「府城四大奇匾」と言ったりするようです。
http://www.flmg.com.tw/news-detail.asp?lang=1&doc_id=19
他
基本は「台南三大名匾」で良いようです。
>Matさん
返信削除おお、貴重な情報ありがとうございます。
そうですか、四大もあるんですねぇ。
本当に東北四大祭りみたいな話ですねぇ。
追加情報
返信削除p.157 紹介されてはいませんが「威霊赫奕」の額は全台湾中唯一明代のものです。国家二級古跡に指定された所以です。
誤植
p.196 誤「永進」→ 正「永達」
p.197の日本風民家とされる写真について。
おそらく区画整理(道路拡張)によって三合院(中華様式民居)の両翼が失われた民家。(屋根が中央に向かって湾曲している点、三合院の中央入り口が残っているのが写真からわずかに確認出来る点、家屋の壁が木造ではない点より判断。この写真は次版で差し替えるか解説を変えたほうが良いですね。)
>Matさん
返信削除またまた追加情報ありがとうございます。
ウチではもう本棚に眠ったままなので、改めて確認して、いずれ記事も書き直そうかと思います。
まぁしかし、去年5月の旅では自分も「日本風民家」はうまく判別出来なかったんですよ(古い記事にそういうミスが残っているはず)。
このガイドの取材陣も台湾素人だということが文章の端々から分かるので、勘違いそのものは理解できます。
素人のまま出版しちゃダメだろ、とも思いますが。