2012/04/30

井仔脚瓦盤塩田(台南市北門区)

井仔脚瓦盤塩田(台南市北門区)
 突然目の前に開けた光景。
 銀閣寺の向月台とか、上賀茂神社の立砂みたいなものが、水面に顔を覗かせている。

井仔腳瓦盤鹽田
 近づいて見れば、塩の山。
 そう、ここは塩田なのである。

 北門区の井仔脚という地区にあるこの塩田は、台湾では最古に属する歴史がある。瓦盤塩田という方式を採用している。
 この方式は、鄭氏政権の頃に遡るという伝承がある。当時、既に台湾では塩が生産されていたが、とても非効率なものだった。そこで陳永華が新たな方式を導入させたのが、これなのだとか。台湾の諸葛孔明らしいエピソードである。

 ちなみに、井仔脚(永華村)での製塩は1818年に始まったらしい。代天府移転の翌年なのは、何か関係があるのだろうか。

井仔脚瓦盤塩田(台南市北門区)
 現在は商業ベースの生産は終了しているが、製塩は可能。台湾には多くの塩田跡があるけど、今でも造れるというのは、かなり貴重である。

井仔脚瓦盤塩田(台南市北門区)
 というのも、瓦盤塩田は恐ろしくシンプルな方式だから。
 田んぼのような区画を造り、そこに瓦などを平らに敷き詰めれば、設備は完成。あとは海水を流し込み、天日で乾燥させるだけだ。
 写真のように中央に掻き集めれば、一日でできてしまう。

井仔脚瓦盤塩田(台南市北門区)
 作業の体験もできるらしいが、写真に見えるのは、本職の人。
 造られた塩は、お土産で持ち帰ることもできる。我々ももちろん持ち帰った。積み上がってる塩を、自分で袋に入れる形なので、きれいな塩なのかという疑念は若干あったけど、主に塩ゆでに利用している。
 岩塩を砕いたような大粒で、味はかなりいい。何よりも、製造工程がすべて把握できて、その想像の通りの姿をしているのがいい。

井仔腳瓦盤鹽田
 一部の瓦盤は、誰でも入れる体験スペースになっている。
 体験といっても、天秤を担いだり、塩に触ったりする程度。まぁ無料施設だし、何と言ってもリアルな塩田に立てるのだから、十分に楽しい。

井仔脚瓦盤塩田(台南市北門区)
 塩のオブジェもあった。

 台南で塩田といえば、七股の塩山が有名だけど、他にもいくつか観光地として公開されている。
 ここは商売っ気が乏しく、とても地味。交通の便も悪い。どうしてもバスで行くとなれば、最寄りのバス停から2kmほど歩くことになろうが、炎天下の台南でそれはやめた方が無難。新営駅からタクシーに乗るのが良さそうだ(タクシーなら、恐らく新営駅から20分もかからないはず)。
 まぁそんな場所だけど、リアルな塩田を感じられる場所はそうそうないので、興味があったら思い切って行ってみるべし。

井仔脚瓦盤塩田(台南市北門区)
 なお、この時間の塩田には、三脚つきのカメラが沢山並んでいた。その理由は、一番最初の写真でも分かるように、夕陽が間もなく塩田に映る時間だったから。
 せっかくなので、シャッターチャンスを待つ人々の写真も何枚か撮ったけど、モザイク入れるのが面倒臭いから掲載は見合わせておく。

 ともかく、ここは台南の友人に案内してもらわなければ、決して行く機会のなかった場所だ。とても素晴らしい体験だった。改めて御礼申し上げる。

2 コメント:

  1. derorenさん

    雖然我尚未造訪過銀閣寺
    但曾聽聞它的枯山水庭院之美 無以倫比
    看您的文章中 將台南鹽田的景色以銀閣寺比擬
    讓人覺得有趣 
    這或許就是所謂的「旅人之眼」【旅行者の目】?

    記得幾年前去宇治時曾經造訪過「橋寺放生院」
    不曉得您知不知道這個地方?
    或許對當地人而言
    會覺得是個不起眼的小地方
    我卻在此留下深刻印象
    文章原始連結在這
    http://www.wretch.cc/blog/skk/22583174

    有時因為靠得太近
    人們時常會將習以為常的風景
    視為理所當然
    而忘卻它原有的美吧?

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  2. gini sama
    こんばんは。你好。

    鹽山,我非常看上去神聖。
    因此,與日本的神聖物比較了。
    當然,也有請讓日本人的讀者有關心的意圖。

    讀了gini的部落客。非常有趣。
    我好多次訪問了放生院。(乘坐自行車)
    是「宇治橋姬」傳說的地。

    在訪問宇治的旅遊客中,對這個寺院表現關心的人少。
    居民因為居民看漏價值,外國人發現。那個非常很有興趣。

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