総趕宮の前は小さな広場になっている。そしてその広場に面して、もう一つの廟が建つ。五瘟宮である。
開基五瘟宮とあるように、ここも台湾でもあまり例のない宮だ。何者が祀られているかは、瘟の字の意味が分かれば簡単に推測できよう。
瘟はやまいだれという時点で想像出来るように、病気である。
並んでいるお歴々は、やっぱりその方面である。
出来るだけ遭わずに済ませたい方々の集団。
中央奥の主祭神は、なんと五毒神という名前だ。
どうも五毒神の信仰は、台湾では台南周辺に僅かに見られるのみらしい。まぁ五毒大帝とか五毒大神とか、似たような神格は他にもあるようだが。
ネットに残っている新聞記事では、五毒神は毒を放つ神で、五毒大帝は毒を排除する神だとか書かれていたりする。ここの神の禍々しい造型からして、毒を放つ疫神であることは間違いないだろう。
ただ、日本の著名な疫神である祇園の神の場合、疫病をもたらす一方で、祀る者を被害から守る役割も担う(ことになっている)。五毒神及び疫神のお歴々にしても、病気を流行らせて欲しいから祀るわけではないはず。
要するに、毒を放つ神に毒の排除を願うのが、こういう神の信仰でしょ?、という話である。
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