2010/12/22
北港朝天宮への進香団(七) 北高雄陳府(?)編
これまでに紹介した進香団は大規模なものばかりだが、実際にはそれ以外に数名程度の小さな団体が多数いたりする。そういう進香団は、媽祖像を抱えている以外は普通の参拝者と変わらないので、ほぼ紛れている。
水上郷順聖宮の大規模進香と同時期にも、かなりの団体がいたが、進香団と進香団がバッティングした時点で、部外者には見分けが難しかった。
そんな中で、この団体は小規模ながらも目立っていた。その理由は言うまでもなく、乩童の存在による。なおタイトルに「?」が入っているのは、北高雄陳府という廟が媽祖廟ではなく、中壇元帥の宮らしいためである。
赤服の人が補佐役で、金紙を並べて火をつける。そこで剣を振るっているのが乩童(童乩)。既にトランス状態に入っている。
ちなみに、この剣はフェイクではない。乩童は呪符を燃やし、印を結んで、そして自分の身体を傷つけることになる。上半身が裸なのはそのためである。
門前の庭での儀礼を終えると、次は中の祭壇に向かうことになる。
傷を付ける箇所は背中など決まった箇所のようだが、最も印象的なのは額である。血を見るのが苦手な人は、この下の写真は見ないように。
こうして朝天宮の媽祖と相対した辺りから、乩童のトランスは深まっているようだ。
しかしここで終わるわけではなく、再び門前に戻ることになる。
今度は棍棒を手にする乩童。デスマッチの有刺鉄線バット辺りを彷彿とさせるが、実際にこれで身体を叩いていく。当然、彼は血まみれである。
再び中に入って、最後の所作に入る。この乩童の所作は間近でじっくり観察できた。
一連の神前での所作は、彼自身が進香にやってきた媽祖となって、朝天宮の媽祖と対面するものなのかな、と思われる(確証はないが)。
彼自身は一切言葉を発することができず、目もほぼ閉じられたままで、そばの補佐役に指示をする。指示された側は、何を指示されたのか必ずしも分からないようで、用意したものを置くと彼が首を振って別のものを用意するといった光景が繰り返された。
やがて彼は突然気を失って後ろに倒れる。もちろんそれは、予測していた補佐役に受け止められ、何人かがかりで身体を揺さぶって正気に戻していた。
目を開いた乩童は、今し方の様子とはまるで別人のような表情になって、普通に言葉を交わし始めるのだった。
この日の朝天宮は、常に乩童の姿を見ることができた。見習いっぽい人を連れた二人組なんてパターンもあった。こういう宗教者がいる台湾はやはりすごいなぁと思う。一般的な旅行者には向いてないけどね。
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