台南の廟宇においては、二種類の虎の生態が知られている。
一つは入口の左右に龍とともに描かれ、聖なる空間を守護する虎。この場合は生物学的にも、まずは虎というべきだろう。
そしてもう一つのパターンが、ここで取り上げる虎爺である。
我が家の年賀状に登場した台南興済宮の虎爺。主祭壇の手前左に鎮座しているが、こういうパターンは少数派である。
なお、彼は主祭神の保生大帝に助けられた恩を返すため、ここにいる。詳細は「興済宮(一)正殿と保生大帝」で。
同じく年賀状に使った東嶽殿の虎爺。これもやや特殊なパターンだ。
東嶽殿は地獄に堕ちた死者を救う場なので、虎爺の役割もまた違うのではなかろうか。
お役目がない例。台南孔子廟ではガラスケースの中に陳列されていた。
孔子廟に虎爺の居場所はないのだろうか。
※これは虎爺ではなく、敔という楽器である。
ここから下の虎爺こそ、台南(というか台湾)での典型的な姿である。
開基武廟の福徳正神の下壇を守護する虎爺。「下壇将軍」と表記されていることでも分かるように、祭壇の下のくぼんだ部分に鎮座している。イメージとしては、ハイデッカーの観光バスの下に乗務員の仮眠スペースがあるようなものだ(本当か?)。
虎爺という神格は、基本的には特定の神を守護するものである。時にはなぜ守護するようになったかという物語が付与されることもある。この暗くじめじめした場所への祭祀は、あくまで虎爺が望んだ結果なのだ。
天壇の虎爺。
造形的には獅子との中間形が多いように思われる。縞々模様でどうにか判別できる。
台南保安宮。
祀られるのは一頭(一柱?)とは限らない。
集福宮の虎爺。先に「集福宮(二)虎将軍と門神画」にも載せた。
際立った造形で有名な(嘘だ)開基共善堂の虎爺。「開基共善堂(二)天皇殿の神々」で一度載せたものだが、あえてhashiカメラから一枚。何というか、ぼけてるぐらいがちょうど良い凄さである。
大天后宮の虎爺は石造である。本当にこれが虎の像なのか疑問がなくもないが、現在は台南きっての古い虎爺として君臨している。
そんな感じで虎に溢れた台南であるが、やはりもう一つの虎についても触れねばなるまい。次回、寅年なので虎の絵特集(台南編)を刮目して待て!
※なお、台南編以外が執筆される予定はない。
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