※前半はこちら。
媽祖生誕を祝う大天后宮。中から読経らしき声が聞こえるので、覗いてみる。
すると、白い服の女性たちが2列に並んで経文を読誦していた。願文なのかも知れないが、萬物創生から語られているから何かの経典だろう。
念のため写真に撮っておいたページの文字で検索したところ、『太上説南斗六司延壽度人妙経』、つまり南斗(生を司る神)の経典のようだ。まぁいずれにせよ、さまざまな読経の一部がこれだったということに過ぎないが。
なお媽祖廟の読経は、ここでも北港朝天宮でも伴奏つきだった。初めて見る弦楽器などもあったりして、その意味でも興味深かった。一団は正殿で読経のあと、裏の三官大帝の前に移動していった。
読経が一段落した時に、我々は一度そばを離れて境内を見てまわった。
ここはもう三度目の訪問だから、だいたい中の配置は分かっている(こちらとこちらで詳しく解説した)。ただ、どの神様の前にもお供え物がいっぱいだ。もちろん虎爺にも果物のお供えだ。できるだけ撮影しておく。
そうして、さぁここを去ろうかと三川門を出たところで、おばちゃんに話しかけられる。おばちゃんは日本語を習ったそうで、懸命にこの廟のことを説明してくれた。
おばちゃん情報によると、今年の祭礼は控え目らしい。来年が節目の年なので、大規模にやるという。横浜の媽祖祭に呼ばれて日本を訪問した話もしてくれたが、関西在住の我々にとって、横浜は台南より遙かに疎遠なので、反応が難しかった(いちおう横浜中華街にも行ったことはあるけど)。
ともかく、廟宇の格を示す装飾についていろいろ教えてもらい、記念写真を撮って別れた。ある程度は書物などで知識を得ているから知っていたけれど、現場で教えてもらえるのは、やはりありがたかった。来年の祭礼は難しいかも知れないが、おばちゃん、再見!
そこから新美街、民生路と歩く。裕成水果の前を通ったが、もういい加減他の店にしようと通過。どうせマンゴーの季節じゃないし、シロップ漬けなら無理に食べる必要もない。
しかしどこかでは水果を食べたい。まず一軒目の候補(あえて名前は挙げない)は、どうにも店が暗くて客がいなかったのでやめ。で、次に見かけた阿良水果店でパパイヤ牛乳、グァバジュース、水果切盤を頼んだ。ちょっとした昼食代わりである。
阿良水果店でも、日本人は珍しかったのか歓待してもらった。プチトマト(中に挟んであるやつ)と青マンゴーを、台湾の味だからとサービスしてもらう。どれも美味。台北で飲んだパパイヤ牛乳の高さを、今さらのように思い出した(ここは50元)。店員の注目の的にはなるけど、それも楽しいゾ。
次の目的地は鄭氏家廟周辺。まぁ通り過ぎればいいや、という程度の興味で歩くが、例によって地図がないので道に迷い、朝興宮と保和宮(同一の場所)に遭遇する。
これがまた、住宅地の真ん中にいきなり数十段の階段で登る廟があるのだからビックリだ。朝興宮は媽祖廟なので、花輪が飾ってあった。
さらに我々は迷い、武徳殿の辺りまで来てまた戻り、重慶寺へ。ここはまぁ、旧台南州庁の裏を抜ける際に標識があるので、存在は知っていた。
本尊は観音だが、大観音亭などと同様に仏教寺院の形態ではない。両脇には西嶽大帝と註生娘娘が祀られている。
そうしてふらついた結果、ようやく報恩堂に辿り着く。報恩堂と鄭氏家廟は隣り合っているので、自動的にこちらも発見できた。やれやれだ(無駄足ってわけでもないけどね)。
報恩堂は門が閉じられているので外観のみ見学、そこから鄭氏家廟の方へ行っていると、実はここに三つの廟宇が固まっていることを知る。鄭氏家廟と並んで三官廟、向かいに五帝廟だ。そして鄭氏家廟だけがひっそりとしていた。ここは鄭さんの家の廟だから、拝拝の人が少ないのは当たり前だ。ただ、中を見てもここは廟というより観光地に思えた。
次の目的地は總趕宮。例の本で寄付を募っている廟だ。
どこなのかと歩いていたら、あっさり入口は見つけた。要するに雙全紅茶の奥だった。
もちろん雙全紅茶を黙って通り過ぎるわけはなく、おじいさんに一杯所望する。おじいさんがシェイクしてくれる紅茶は20元。飲んでみると、これがまた驚きのうまさだ。紅茶の風味、苦味がしっかりあって、しかし渋味はあまりなく飲みやすい。名物にまずいもの無しだねぇ。
その目の前の空き店舗らしき場所に、總趕宮の祭神は仮安置されていた。が、ともかくまずは工事中の宮を見てみると、なかなか不思議な空間が広がっている。
住宅地の真ん中にぽっかりと空き地があり、周囲には五瘟宮というやばそうな名前の宮や、飲食店(蛙の肉も扱ってた)があったりする。工事がなければ別天地の趣きあり、だ。工事をしていない脇の部分を見学して、仮安置の殿内を拝む。なんか不思議だ。どう見ても謝将軍と范将軍なのに、名前が違う。台湾の神は難しい。
次は蕭氏節孝坊……のはずが、見当らず(地図がないと厳しい)。うろうろとさまようなかで小西門のあった円環を通る。去年も来た場所ではあるけれど、あらためて良皇宮を拝んで、またさまよう。
和意堂、昆沙宮と巡って、突然視界が開けた。大億麗緻酒店や新光三越台南新天地の裏手、つまりかつての刑務所址であった。
市街とは思えないほどのどかな景色の向こうに、高層ビルが並ぶ景色は不思議なものだ。ついでに、大億麗緻酒店裏の公園から、目の前の台南新天地に抜けられないのも不思議だ。というか、それはないだろう、なぁ(無駄足を踏んだ恨みを口にしておく)。
とにかく疲れたので台南新天地に入り、安平豆花を食べ、トイレ休憩。ここのトイレはきれいだし、フードコートも広くて清潔で、ついでに日本のスーパーなんかのようにうるさくない(広さの割に客が少なめ)から、小休止にはもってこいである。
台南新天地を出発した我々は、残された今日の日程をこなす。まぁ、既に18:00をまわっているので、あとは飯を食うだけである。
当初は旗哥牛肉湯までタクシーで乗りつけようかと考えていたけれど、朝食で牛肉湯を食べたので作戦変更。で、まずはhashiが興味があるという小巻米粉を目指す。……が、見つからない。去年一度前を通った記憶もあるけど、どこなのか分からず断念した(この店が載っているガイドは持参している)。
次は阿川土魠魚焿(「土」は本当は「魚+土」)。ガイドには朝しかやってないようなことが書いてあって、しかしブログではそんなことはなさそうで、とりあえず行って確かめることにした。
そこは保安宮近くなので、ついでに保安宮も再訪。去年見忘れた亀を拝む。屋内で見ると亀は巨大で、思わず声を挙げてしまった。詳しくは後日。
阿川土魠魚焿は、何事もなく開店していた。さっそく土魠魚焿、貢丸湯、肉燥飯を注文。土魠魚焿(白身魚を揚げて、とろみスープで食べるもの)は予想通りのうまさだが、びっくりしたのが貢丸湯。団子がぷりっぷりで非常にうまい。冷凍モノとはわけが違うゾ。
ここでも店員の注目を集めながら食事を終え、次は通りの向かいの全生小食店へ。我ながら何というバカな日程だと思うが、まだ胃が大丈夫と言っているので突入だ。
全生小食店では肉燥飯、魚酥肉飯、総合湯などを食べる。これまたうまい。特に、店員のおねぇちゃんに薦められた魚酥肉飯(魚のでんぶのご飯)が、食べ進めるほどに癖になる。すっかり満足して、次の食事へ出掛けた。
まだ食うのかって? 決まってるじゃないか、夜市に行くのだ(なんか崇高な巡礼者のようだ)。
タクシーの運ちゃんに、自信満々に「武聖夜市」とメモを見せて出発。しかし運ちゃんの様子がおかしい。誰かとしゃべっているなぁ、と思ったら、信号で止まった時に身振り手振りを交えて衝撃の事実を伝えてくれた。「武聖は今日じゃない」。
こちらも自信満々だったので、にわかに信じられなかったものの、武聖夜市への入口はひっそりとしており、嘘ではないようだ。というか、そのうち気がついた。我々(というよりderoren)は、今日の曜日を間違えていた!
そうして運ちゃんに連れて行かれたのは、小北成功夜市。何度も感謝の意を伝えてタクシーを降りた。
まぁさすがにもう腹いっぱいなので、小北成功夜市ではしばらくぶらぶら歩き、果物や飲み物を買った程度で終わった。
ただ、花園夜市とは違って衣料品の店が多いし、長いソフトクリームの店とか文鳥占い(日本語はたぶん無理じゃないか)とか、物珍しいものが多かった。牛排の店は絶対に花園夜市がいいと思うが、遊びたいならここも十分楽しい。
タクシーでホテルに戻る途中で、小北観光夜市の前も通過した。とりあえず店は営業していたが、見える限りでは客の姿がなかった。
未だに日本語ガイドではあそこを夜市として紹介している場合があるけど、間違っても行かない方が良いゾ。まぁ夜市としてではなく、単なる食堂に食べに行く感覚なら、悪くないんだろうけど(味は知らぬ)。
ホテル帰還は21:50頃。ああ今日も充実した一日だった。
台南滞在があと一日というのが寂しい。台北は正直言って飽きて来るけど、台南は何日いても楽しめるぞ。
※一部記憶違いがあったので訂正。
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