相変わらず諸事情により旅行の予定が組めない日々が続いている。悶々とするぐらいならと神戸の南京町をぶらついたのだが、そこで当然のように林商店に寄った。
林商店は南京町では最もマニアックな食材を扱う店で、台湾の味を求める関西方面の人間ならとりあえず足を運んでもいいと思われる(タイやベトナム方面もある)。爺さんはやや商売上手過ぎるが、南京町で岡山の豆瓣醤を買えるのは(たぶん)ここだけだ。
そこで我々は白い粉を買って帰った。もちろん白いクスリではなく、かといって小麦粉でもない。地瓜粉(蕃薯粉)である。
地瓜粉とはサツマイモのデンプンだ。ジャガイモと何が違うのかと半信半疑だったが、使ってみたら全然違ったぞ(どうやらジャガイモより粘度が高いらしい)。
台湾料理には地瓜粉を使ったものが多い。蚵仔煎にも欠かせないし、最近の屋台の定番である鶏排(雞排)のカリカリサクサク衣も、これがなければ出来ない。
ただし蚵仔煎は、小ぶりのカキが手に入ったとしてもソースで苦戦しそうだ。それ以前に、二度も陳家蚵捲で食べ、心斎橋の宝島でも食ったから、それほど飢えていない。
対して鶏排は、花園夜市の店で買ったには買ったが、イマイチそれは好みでなかった。とはいえ台北紹介のテレビ番組では、士林夜市でまず鶏排を食う、というパターンが確立されているわけだ。
たぶん一口で満足するような食い物、しかもすぐに腹いっぱいになって食べ歩きに不都合な食い物が、どうにも恋しい。よし、行けぬなら作ってしまえ屋台鶏排、てな感じで製作に取りかかってみた。
なおレシピは『夜市流行小吃』を使用した。買って一年間放置していた本がようやく役に立ったのである。ああ感無量…なわきゃぁない。
材料は鶏胸肉。どうせ現地の鶏排も安い肉だろうと、余って冷凍していたヤツを使用。
これをとにかく薄く切って、調味料に二時間ほど漬ける。冷凍肉は薄く切るのが楽だ。台湾の牛排や火鍋の肉って、見るからに冷凍肉だよね。
調味料は詳しくは述べないが(無駄に高かった『夜市流行小吃』をみんなに買わせたいぞ)、醤油、砂糖、胡椒、五香粉など。
本には「味素」も入れろと書いてある。「味素」とは何か!? アジノモトだよな。チャイナ・シンドロームまっしぐらだよな? そう思ってひかえておいた。でも夜市で食えば、結局化学調味料の大量摂取は避けられないんだよな(最近は台湾でも化学調味料不使用を謳う店が増えているようだが)。
二時間漬けた身を、とき卵にくぐらせた後に、いよいよ地瓜粉の出番となる。
地瓜粉はもちろん水に溶かさず、そのまままぶす。しっかり押して粉をつけたら、十分ぐらい放置して、いよいよ揚げることになる。
とりあえず揚げてみたの図。ちゃんとサクサクだ。食べたら五香粉の風味で、しっかり台湾的な感じになっている(同居人に言わせれば、まだまだ甘いそうだが)。
揚げてみて分かったのは、下味はかなり濃い目につけた方が良い、ということ。衣の地瓜粉に一切味がついてないから、どうしても薄味に感じるのだ(本では、完成後に塩コショウをふれとある)。
しかしまぁ、やってみたら簡単に再現できてしまったのは事実。これで鶏排は現地で食わなくてもいいな、という結論に至った(でも店の前を通ったら買うだろう)。
次はやはり排骨飯だな。ずいぶん昔にも作ってみたことはあるのだが、地瓜粉さえあれば怖い者なしだ。今は亡き歌舞伎町の店の味を再現だ(高菜が必要だな)。
※なお地瓜粉は日本では滅多に売られてない(宝島が通販やってる)が、サツマイモ澱粉はスーパーに売られている。それは何のことはない、安物の「わらびもち粉」である。代用品として使えるかは不明。
最近は粘度の高い(値段もちょっと高い)ジャガイモ澱粉も売られている。そちらの方が無難かも知れないが、試したわけではない。
サツマイモ粉は製菓材料を売ってる所などでも扱っています。
返信削除たとえばこんなの。
http://item.rakuten.co.jp/hanshoya/satumaimoko100g/
http://fureaiichiba.potika.net/blog/64.html
どの程度精製してあるかはわかりませんが。
>iori3さん
返信削除どうもコメントありがとうございます。
リンク先を拝見しましたが、芋の色が残ってる粉もあるんですね。まさか芋そのものを粉末にしたわけじゃないですよねぇ(実はサツマイモが苦手でして)。