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2012/05/12
台南州立農事試験改良場宿舎群
龍山寺のすぐ裏手にまわると、見るからに日本家屋な一帯が現れる。
ただしそれは、日本人町といった生活感を漂わせてはいない。すぐに思い出すのは、台南刑務所跡地の光景であった。
ここは1923年に日本の植民地政府によって設立された、台南州立農事試験改良場の宿舎である。要するに、民間人が必要に応じて建てたものではなく官舎だから、似たような構造になるのは当然だ。
で、数ある宿舎の中で、ここが一番立派なものと思われる。なぜならば、ここは場長の宿舎なのである。
現在、この場長宿舎は、台南市環境局の回収家具典蔵館として利用されている。公式サイトによると、月曜~金曜の午前9時から11時までの2時間のみ開館で、しかも五人以上の団体で事前申込が必要らしい。我々は申し込んでもいないし、人数も足りないので、外観を覗いただけだ。
ちなみに回収家具典蔵館というのは、ゴミを減らす運動の一環で、リサイクル家具を展示しているらしい。宿舎の利用法として妥当なのかはよく分からない。
塀越しに中を覗くと、こんな感じ。
巨大な樟の木立に囲まれた豪邸である。日本映画のセットみたいだ。
屋根には鬼瓦があったり、鴟尾っぽい瓦も見える。
宿舎が建てられた当時は、ここは郊外で人家も少なかっただろうから、もっと牧歌的な景色だったのかも知れない。
さて、宿舎「群」として古蹟指定されるように、ここには他にも宿舎だった建物が散在する。ただしどれも柵に囲われており、見学というよりは覗きの対象だ。
フェンスの編目が写り込んでいるのは気にしないでほしい。
どの建物も修復工事中らしく、内部がほとんど取り払われている。ともかく、場長宿舎より簡素なので、下っ端の宿舎であろう。下っ端ったってエリートだけどね。
こちらは、すぐ上の宿舎と向かい合っている。若干大きめの建物である。
現状はかなりボロボロだが、うまく修復できれば日本料理の料亭ぐらいには使えそうだ。まぁ台南市が管理する以上、料亭にはならないんだろうけど。
というか、一番料亭向きなのは場長宿舎。家具はむしろ、こういうシンプルな宿舎に展示すればいいのだ。
こちらはやや修復が進んでいる印象。
何に使うのかなぁ。3時間2000円ぐらいの貸しスペースにでもしたらどうかなぁ。いや、値段は日本の公共施設的なアレだけど。日本の都市部にこんな貸しスペースがあったら、きっと予約がとれない人気だぞ。
「拆」の文字が見える。解体という意味だろう。
どうも見る限り、元々の宿舎の前面に増築された部分のようだ。原型に復すから解体するということかな。
すべての修復が終わるのは相当先ではないかと思う。
いずれにせよ、宿舎群は既に車道が入り込んでいるので、公園にはし辛そう。まさか、すべてを環境局が利用するなんてことはないよね?
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