2010/08/15

北港でのどが渇いた時は

神仙酸梅湯
 分かる人には分かるタイトルはさておき、北港で飲み物を買った店をまとめて紹介。
 こちらは神仙酸梅湯というスタンド。朝天宮の周囲をぐるりと囲む円環上にあるので、行けばすぐ見つかるはず。

 酸梅湯はどちらかと言えば微妙な飲み物に属するわけだが、ここのものは問題なく飲めた。北港鎮はギリギリ亜熱帯とはいえ、とにかく暑い。台湾らしく水分補給してみるのも悪くないかもよ(保証は出来ないが)。

自然世界
 うって変わって、こちらは出巡遶境行列の写真にしか見えないが、その通りである。店を撮ろうと思ったら、ちょうど行列が通りかかり、そのまま行列を撮影。店の写真はころっと忘れてしまった。
 写真の左上の方に光る看板「自然世界」で、最後に飲み物を買った。説明の順番がおかしいが、ここは嘉義客運のバスターミナルの前である。

 その自然世界で買ったのは、ごくありふれた珍珠奶茶(タピオカミルクティー)。購入してバスに乗り、二時間近い移動の間に飲もうと思ったが、なんとバスを降りるまでになくなってしまった。大粒の珍珠がゴロゴロ入っていてうまいよ。
 ただし、珍珠奶茶は粒が大きい方が絶対にうまいけど、粒が大きいと必ず先に紅茶がなくなってしまう。その後は、氷と珍珠だけのカップにストローをさし、一つひとつ地道に吸いあげる作業が待っている。飽きないうちはそれなりに面白いけどね。

北港朝天宮の藝閣(出発前)

北港朝天宮の藝閣
 台湾各地の祭礼に見られる藝閣。台北でも霞海城隍廟で行われているので、珍しいものではないだろう。
 壮麗な作り物が、人を乗せたまま練り歩くという意味では、日本の祇園祭の山鉾巡行に似ている。ただし祇園祭の山鉾は、神が降臨する生木の枝や竹などを立てているが、藝閣にそのような部分は見られない。藝閣に乗っている子どもたち(一部例外あり)は、コスチュームから見ても神々に相違ないけどね。

 現在の藝閣は、上の写真のように専用自動車によって行われている。車上のデコレーションはそれぞれの団体で考えるものの、車自体はそういう業者からのレンタルである。
 日本統治時代の写真(霞海城隍廟のもの)を見ると、かつては当然のように人力で動かしていたことが分かる。ただし、派手さは今と遜色なさそうだった。
 恐らく日本ではいろんな方面から問題にされそうなギリギリの演出には、驚くというか正直言ってハラハラせずにいられなかった。まぁそんな紹介は後ほど。

北港朝天宮の藝閣
北港朝天宮の藝閣
 正面に番号が書いてあるのは、単なる整理用ではなく、投票のためである。
 藝閣巡行はコンテストであり、審査によって一等から三等までランクが付けられる。一等は3万元の賞金も出るのだ。
 北港の子どもたちは、こうして幼い頃からシビアな競争に晒されるわけである(?)。

北港朝天宮の藝閣
 この写真には、子どもたちの乗車する場所が見える。サドルの存在にお気づきだろうか。
 地上2m以上もある高さで、あのサドルにまたがって子どもたちは巡行する。サドルにまたがっている子どもたちは人間ではなく神だから、まさか交通事故に遭うわけがない……という論理は、ちょっと厳しいよな。
 まぁともかく、この後の記事では夜の巡行を紹介するので、ぜひ見てほしい。

2010/08/14

北港朝天宮への進香団(三) 麦寮郷順天宮編(三)

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 先触れと(事実上の)にぎやかしに続いて、いよいよ媽祖本隊となる。
 やって来た巨人は言うまでもなく千里眼将軍と順風耳将軍。悪さをしていた鬼が媽祖にとっちめられ、忠誠を誓った姿とされる。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 巨人の動きは様式化されている。基本的には身体を左右に揺らしながら、のっしのっしと歩く。その際に腕がぶらんぶらんするのが、何とも印象的である。
 ……擬音ばっかりで小学生の文章みたいになってしまった。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 両神(千順神なんて略し方もあるらしい)の後に、いよいよ媽祖神たちが現れる。
 左端の方にいる二人に注目。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 この人たちは神座を落としそうになって慌てているわけではなく、二人で揺らしながら歩いているのだ。
 この辺の感覚がまだよく理解出来ないのだが、廟内での扱いも神像に等しいようだった。少なくとも単なる椅子ではなく、これ自体が一つの神格であることは確かな模様。

※追記
 これは手轎と言うそうな。神霊が憑いた小さな神輿ということになる。
 正直言って、持ち手の二人がトランス状態にあるようには見えなかったけど、基本的にはそうなっていて、手轎の動きが神意を表すものらしい(操手轎、揺轎)。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 ひな壇芸人のような媽祖神たち。
 像の一つひとつに名前があって、異なる信仰をもっていたりするので、誰かが代表で、というわけにはいかないのだろう。
 ……そしてもちろん、このひな壇で行列が終わるわけではない。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 神輿に乗っている媽祖が、この宮の本尊というべき媽祖像ということになる。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 ……おっと、えらい車が通りがかったぜ。
 この時は車だけだったけどね。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 立派な神輿の後に、さらに参列者が続いて、ようやく進香團の末端となる。百人を軽く超える大所帯である。
 もちろんこうやって練り歩くのは門前だけであって、他はトラックなどに分乗しているだろう(以前、台南で行列の人々が乗り込む姿を目撃したこともある)。とはいえ金銭的な部分も含めて、ものすごいエネルギーが必要なことは想像に難くない。

 しかし、その結果が媽祖神のヒエラルキーを強化している点に、どうにも違和感があるのも否めないところ。
 まぁそうした問題は、廟の門前や廟内での様子を紹介しながら、徐々に考えていければと思う。

2010/08/13

鴨母寮市場の謎の麺屋「骯髒麺」に潜入

鴨母寮市場「骯髒麺」
 台南の鴨母寮市場(光復市場)は、首相大飯店から徒歩で10分もかからない近所であり、総爺老街や大銃街、興済宮からも近い。ついでに言えば、我々が宿泊していない朝代大飯店からも似たような距離で、天下大飯店からは目と鼻の先である。
 従って、この市場には毎回必ず寄っているが、2009年の我々がここで買ったのはフルーツだけであった(龍眼、釈迦頭、蓮霧など)。

 この市場は基本的には朝市で、魚と肉と野菜と果物という、食材が中心となっている。ただし裏の通り沿いには衣料品などの屋台もあるし、食べ物も食材だけではなく、魯味の有名店の松村燻之味なんかもここにある(魯味は空港で没収される可能性があるので注意)。
 そして実は小吃店がいくつも存在している。

 台湾の小吃食べ歩きブロガーの間で、この市場のとある店が話題になっていた。それが「骯髒麺」である。日本語に訳すと「不潔な麺」である。
 トンデモな名前で、しかも店自体がそうとう見つけ辛いらしい。我々(少なくともderoren)の心をくすぐるシチュエーションだ。
 そこで勝手知ったるはずの鴨母寮市場にやって来たが、さすが見つけ辛いというだけあって、いくら探しても見当らない。元々、市場の内部は迷路のように入り組んでいて、なかなか現在位置を確認できないのだが、ともあれ40分近くうろうろした末に、ようやくそれらしい場所を発見したのである。
 ……まぁ、その40分のなかには土芒果を物色していた時間も含まれるけどね。 

鴨母寮市場「骯髒麺」
 狭い通路を恐る恐る進んでいくと、鍋が並んでいる。炭火で炊いているのが分かる。
 なんだか期待できるぞ……とカメラを構えて店内に足を踏み入れたら、カメラはダメとジェスチャーされた。台湾で自主規制ではなく撮影拒否にあったのは、いつ以来だろう。なんだかまた期待が高まる(まさに「取材拒否の店」の気分だ)。

 念のため記しておくが、別に店内に変わった景色があるわけではない。ただテーブルと椅子が並んでいるだけの、なんの変哲もないスペースである。
 ともかく我々は緊張のなか、いよいよ骯髒麺を喰らうことになった。

※なお、この店には特に名前はないようで、麺についてもメニューがないので本当の名前はよく分からない。「垃圾麺」と記されることもあるようだ。ちなみにその場合は「ゴミ麺」である。

鴨母寮市場「骯髒麺」
 骯髒麺は40元。キャベツや青菜、ネギが入った麺の上に少しの肉燥とラードの絞りかすがのっている。チャッチャ系と言えなくもない。
 麺は細めの、恐らくは乾麺であろうと思われる。この麺は絶妙なコシがあって、かなりうまい。それだけでも驚きだ。
 そして、何よりうまいのがスープ。あっさり味で、油っぽさは皆無である。野菜もうまい。台湾で食べた麺のなかでは一番といっても過言ではない。

 ちなみに、テーブルには豆板醤なんかが置いてあるので、辛いのが好きなら適当に加えて食べる。周囲の客は軒並み加えていた。けどまずは、そのままの味を確かめるのが良い。
 ここは乾拌麺(汁なし麺)や餛飩(ワンタン)もあるらしい。次回はチャレンジしてみたい(時間がいつになるかはともかく……)。

 写真は撮ってないが茹でたイカも一緒に頼んだ(というか頼まされたに近かった)。
 これがまた、びっくりするほどうまい。新鮮なイカってこんな味なのかと感動する。ぜひ一緒に頼むべきだ。


 この店では日本語は全く通じないし、メニューもないので、注文はかなり難しい。そして、上の麺の正式な名前はよく分からない。誰かが食べているのを指差すのが一番無難であろう。
 「乾拌麺」「餛飩」はまぁそう書けば通じそう。イカは軟絲とか花枝とか書けばどうにかなるのではないかと思われる。最終的には、困ったらおばさんがどうにかしてくれるはずだ。

2010/08/12

北港朝天宮への進香団(二) 麦寮郷順天宮編(二)

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 この宮はずいぶんデフォルメ神が多かった。
 写真には四柱写っている。先頭が中壇元帥だが、続く二人が謎。二人目の黒い顔の元帥は棍棒を持っている。三人目の金色顔は、両手に剣だ。
 一番後ろには、切れかかっているが白髪の爺さんがいる。福徳正神である。麦寮郷は雲林県の最北部に位置するわけだが、ここでは少なくとも白髪ジジィタイプが存在しているようだ(台南市内では見かけない)。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 ポーズをとる中壇元帥。右手には尖槍、左手には乾坤圏(リング)を持っている。
 どうでもいいが、乾坤圏で検索するとマンガからゲームまで無数出てくるわけである。ここで彼が持っているものに、刃はついてないので念のため。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 こちらは謎の三人目。三人とも中壇元帥の可能性は捨てきれないが、誰か知っていたら教えてくだされ。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 お布施をよこせ~、とすごんでいるのは福徳正神である。
 後ろは誰だ? 長く伸びた眉毛と被っている帽子の「佛」から考えて、済公のように見える。ひょうたん徳利を持ってるのも特徴なので、まず間違いない。
 ただし済公は、一般的には中壇元帥とセットで登場する神とされる。

麦寮郷順天宮の北港朝天宮進香
 最後は家将。隈取りをして牙をはやした冥界の武将で、八家将もしくは十家将が一般的らしいが、ここでは三人しかいない。
 朝天宮の門前で家将が見せる演武は、相当にカッコイイものだ。残念ながらこの三家将のは見ていないが、6日に高雄の方からやってきた家将のものを、いずれ紹介するぞ。

 いよいよ行列は核心部に。
 目と耳の巨人は、家将の背後に迫っているぜ。

西羅殿牛肉湯(台南市北区)

西羅殿牛肉湯(台南市北区)
 先に宣言したように、北港鎮記事と並行して、鮮度が大切な小吃記事を順次掲載していく。
 そんなわけで、台南で朝食を食べた西羅殿牛肉湯。「西羅殿」の名を冠しているが、少なくとも現在の所在地は阿憨鹹粥と同じ公園南路であって、五條港地区の西羅殿とは全く別の場所にある。

 概略記事にも書いたけど、この店に入ったのは阿憨鹹粥が閉まっていたので、その代わりだった。
 とはいえ牛肉湯は今回の旅で食べたい小吃の一つ。事前の予定では、この日の夜に旗哥牛肉湯へとタクシーで乗りつける計画だったのだ。
 まぁせっかくの機会だし、朝から食べて見るのもいいのではないか、と思ったわけである。

西羅殿牛肉湯(台南市北区)
 店内の様子。メニューがばっちり写っているので、値段の紹介は要らないな。
 牛肉湯は、肉燥飯付きである。肉が食べたい人間には言うことなしのメニューだ。

西羅殿牛肉湯(台南市北区)
 肉燥飯はセルフサービス……のはずだったが、日本人観光客が珍しい老闆娘の手で、さっさと盛られてしまう。ぐあぁー、それがやりたかったのにぃ~、と叫ぶ語彙がない我々である。
 『食尚玩家』で旗哥牛肉湯を訪れた浩角翔起が、自分たちで盛っていたのがとても楽しそうだった。あぁ、やっぱりもう一軒行くべきか……とまでは、思わなかったのだが。

西羅殿牛肉湯(台南市北区)
 そんな悲しみの肉燥飯。ここの肉燥は普通の豚肉だった。旗哥牛肉湯の牛肉肉燥飯にはやはり心惹かれるものがあるなぁ。
 でもこれはこれでうまいっす。derorenは肉燥飯が食えれば満足っす。

西羅殿牛肉湯(台南市北区)
 いやまぁ、そうは言っても牛肉湯である。
 上の写真は妙に赤っぽく写ってしまった。下の写真の方が実際に近いので、そっちを見ておくれやす。

西羅殿牛肉湯(台南市北区)
 牛肉湯は台湾でも案外珍しい小吃で、特に台南には店が多い。
 これは見ての通り、決して牛肉麺の麺無し状態ではない。薄切りの生牛肉に熱いスープを注いで、ほんのり色づいたところを食べるという非常にオシャレな食べ物である(サバヒー皮にスープを注ぐ林家魚皮の牛肉版と考えると分かりやすい)。
 スープはショウガを利かせたあっさり味。薄切り肉は柔らかくて、牛肉の風味が濃厚に残っている。朝食で100元は決して安くないが、それだけの価値は十分にある。

 ちなみに牛肉湯の店の多くは、牛肉が新鮮でなければ営業できないため、非常に朝早くに開店することでも知られる。午前3時に開店、午前8時までには閉店してしまう有名店すら存在するのだ。
 我々はそのような早起きが苦手なので、深夜まで営業する旗哥牛肉湯に行くつもりだった。しかし朝9時前にここが開いているなら、それで十分だと思った。牛肉湯のうまさは堪能できるし、ここでも日本人観光客は面白がられるので、読者の皆さんも一度食べてみてはいかがかな?

・西羅殿牛肉湯(台南市北区公園南路98號:公園南路と福徳街の交差点北側)
 下の地図のマークは阿憨鹹粥の位置。そのわずかに東側なので、首相大飯店から公園路→公園南路と歩いた場合は、阿憨鹹粥の手前で見つけられるはず。

大きな地図で見る

北港朝天宮への進香団(一) 麦寮郷順天宮編(一)

麦寮郷順天宮
 直前の記事で難しいと書いた進香団を、とりあえず一つ紹介してみる。
 この進香団については、門前の道で通り過ぎるのを見ただけで、門前や廟内での所作は見学していない。なのでまぁ、紹介は比較的たやすいのである。
 大掛かりな進香団は、とにかく派手なお祭り行列なので、是非自分の目で見てほしい。いや、目もそうだけど耳が重要。音楽と爆竹の喧噪のなかで体験しないと、この魅力は分からないと思う。

 そんなわけで、以下は5月3日の午後4時過ぎに遭遇した麦寮郷順天宮の進香団。
 上の写真は、まだ遠くに見えるだけだ。せっかくなので門前の道の紹介も兼ねて載せてみた。

麥寮鄉順天宮
 先触れの車には、巨大な拡声器が積んである。
 もちろんこれは伊達ではなく、大音響によって進香団の到来を告げるものだ。

麦寮郷順天宮
 宮の繍旗、そして武具を持った人たちが続く。
 ちなみに、非日常的な音響や武器などは、一般的には祭礼の地を祓い清める目的で用いられる。もちろん神の示威活動でもある。

麦寮郷順天宮
 沢山の旗に囲まれて見にくいが、これは開路鼓。大きな太鼓が載っている。
 そして林立する旗の隙間には、どこかで見たことのある、うつろな瞳が見える。ヤツだ。ヤツがあらわれた。

麦寮郷順天宮
 そして遠くを見れば、二人の巨人だ。巨人と言えば谷山浩子を思い出すderorenであるが(古くて申し訳ない)、もちろん彼らは高層ビルだ君は、ではなく目と耳がすごい人たちである。
 そんな神々の活躍は、(二)と(三)で紹介するゾ。ホームページはそのまま!(←それは無理だ)