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2012/04/22
南鯤鯓代天府(三) 後殿の青山寺
台湾では観音菩薩を航海の守護神とすることがある。媽祖廟の後殿に必ずといっていいほど観音が祀られているのはそのためだ。
従って、立地的にもやはり航海にも関わるだろう南鯤鯓代天府に、観音の姿があったとしても不思議ではない。
ただし、そこには青山寺という額が掲げられている。
ここも立派な八角藻井が造られている。中央の天板が八卦の形なのは、泉州渓底派の特色だと『台湾廟宇図鑑』に書かれてある。
そして本尊の観世音菩薩。写真は斜めなので奥が見えないが、正面から見ても観音像は見えなかった(手前の像で隠れている)。
境内にあった案内板によれば、ここは清の同治11年(1872)に創建されたという。恐らくは創建時から南鯤鯓代天府の後殿であったと思われるが、ともかくここには「青山寺」という独立した名前が付けられている。
なお、同じ案内板には、2007年に浙江省普陀山の南海観音禅林と結盟したとあった。普陀山といえば、台湾の観音殿がしばしば岩窟を摸していることの由来の地である。こうして両岸の交流が続いているわけだ。
これは青山寺前の壁、つまり正殿後方の後拝殿の壁にあたる。
このような壁は金銭壁で、富貴万年の象徴であるそうな。
龍柱は正殿にも負けない立派なもの。
こちらの柱には、大正12年と刻まれている。(二)で紹介した、正殿と同時期だ。
この時の造営は、三川殿から後殿まで一体のものだったという証明になっている。
さて、「青山寺」という名の割には仏教寺院らしさ(derorenが知るような、というレベルだ)が感じられないここには、玉皇上帝と地蔵王菩薩も祀られる。
まぁ普陀巌のある廟は、むしろ仏教寺院じゃない場合が多いわけだし、ここもそうだと思えば不思議ではない。
手前の像がたぶん地蔵で、奥に描かれているのが玉皇上帝か。もしくは、陰に玉皇上帝の神位か何かが居られるかもしれない。
ちなみに地蔵は仏教側ではあるが、観音とは無関係に祀られている(青山寺の案内板には触れられていない)。冥界と関わりの深い菩薩として、城隍廟や東嶽殿にもつきものの地蔵だから、同じく陰廟のここにも祀られているのだろう。
玉皇上帝は……、まぁいるにこしたことはない神だからねぇ(出入りする乩童などと関係があったりする?)。
というわけで、中心部はこれで紹介終了。
しかし南鯤鯓代天府は巨大な空間だ。他にもいろいろな神殿や施設があったので、引き続き載せていく。
日本人旅行者に需要があるかは分からないけど、興味のある人が調べた時に、一つぐらい日本語のガイドがあったらいいだろうな、という感じで書いているので、どうぞよろしく。
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