旧勧業銀行の交差点から忠義路を北に進むと、すぐに廟が見えてくる。それも道路の両側にいくつもある。
鄭氏家廟、三官廟、五帝廟、さらに報恩堂も隣接するので、廟マニアなら歓喜勇躍するだろう。そんなマニアがいるのかはともかく。
で、これは鄭氏家廟。日本の人がわざわざ来たりするという鄭成功の廟だ。
……いやまぁ、我々も日本の人だ。しかし、ここだけを特別扱いはしていない。むしろ冷淡である。
境内の外側にある井戸。明代に遡るという話もあるようだ。
前殿。現在の形になるまでには、多くの改修を重ねている。ついでに名前も変わっている。
『台南歴史深度旅遊』によれば、元は鄭氏政権の時代に造られた延平王廟だった。これは当然、鄭経が父を供養した廟である。
その後、清代になって鄭氏大宗祠、もしくは昭格堂という名に変わった。これは明の王位を廟名とすることへの憚りがあったためらしい。
鄭氏家廟となったのはつい最近である。
本殿。飾りがなくシンプルだ。
内部には、わりと有名な鄭成功像が祀られる。
この像は、日本の画家が描いた油絵を元に1947年に造られたという。ヒゲもない顔が当時の姿と言えるのかはともかく、延平郡王祠の像よりインパクトがあるのは事実である。
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