李春生紀念教会の向かいに建つ洋館。
ここが港町文化講座の行われた地だという。
騎楼の屋根を眺める。
この建物がまさに講堂そのものの姿を留めているのかまでは判然としないが、ともあれここは日本統治時代の港町の中心である。内部は修復工事が行われているので、いずれそういう展示がなされたりするのではなかろうか。
港町文化講座とは、1921年に設立された台湾文化協会の講座である。
……といえば何のことはない話だが、この講座は非武装の抗日運動であった。つまり戦って台湾独立を果たすのではなく、頭脳で独立を勝ち取ろうという方向だ。
言うまでもなく、この運動は日本の大正デモクラシーと同時に起きている。また、近代的学校教育を受けた台湾人が知識人層を形成し始めたという状況も影響している。台湾総督府は出来るだけ台湾人に高等教育を受けさせない政策をとっていたというが、それでも一定のエリート層は日本に留学している。近代的教育の威力は、我々が意識する以上に大きいのである。
貴徳街側から見る。
シンプルなようで、けっこう面白い建築である。
なんと柱に竹が彫ってある。廟宇の龍柱を思い出す。文化講座にふさわしい建物だ。
なお、台湾総督府は非武装だからといって、この活動を黙って認めたわけではない。独立につながる動きには、あくまで弾圧を続けている。
それでも、独立運動家はあくまで非武装のまま、日本人支援者を使ったロビー活動に重点を移している。まぁそんな独立運動の転換点が、ここだったのだろう。
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