最近通販で買った本に『喝茶.找茶.玩茶』(宇河文化出版有限公司)がある。定価300元なので、送料を含めれば1300円ほどになる。
この本は「台灣八大茶區深度導覽」と副題があって、茶葉の種類や特徴、主な茶葉の生産地紹介などから成り立っている。はっきり言って、茶藝館でくつろぐのが趣味という人向けの書籍ではない。基本的には生産者側の情報だからだ(日本でも農協や行政がらみの出版物はたいがい微妙な出来だ)。
茶の味や茶器の選び方などを知りたい人は、同じ書店の「茶風系列」シリーズで別の本を買った方が良い。ただし、そういう方面の知識なら、日本語の書籍やWEB情報もけっこうあるので、無理に台湾書籍を買うこともないだろう。
まぁ正直言えば「買って損した」類の本なのだろうが、そこそこ楽しめているのは、第一章「茶之邂逅」がそれなりに興味深かったからである。
この章は順に「茶業的種類」「台湾茶重要品種」「台湾評鑑茶」「台湾八大特色茶」となっていて、小売の場の商品名ではなく品種改良された茶葉の種類などが書かれている。要するに日本の米ならば、産地ブランドじゃなくて「つや姫(うまいから来年秋に買ってね!)」「はえぬき」「コシヒカリ」といった品種を、ちゃんと登録名(たとえば「つや姫」は「山形97号」だ)から紹介しているのである。
金萱茶は「台茶12号」で民国70年(1981)に命名、翠玉は「台茶13号」でこれも民国70年(1981)命名、紅玉は「台茶18号」で民国92年(2003)に愛称がつけられたばかり、などなど。まぁ実はこの程度の知識は、WEBでちょっと探せば見つかる。要するに、自分はそれをやるほどの関心がなかったに過ぎないのだが。
等級別の市場価格表が載っているのは珍しいのではないか。自分の買う茶は相当に下のランクなのだなぁとか、一番上のランクはそんなに味が違うのかなぁとか、いろいろ興味深い。
第二章は産地紹介。「八大」茶とは、文山包種茶、凍頂烏龍茶、台湾紅茶、白毫烏龍茶、鉄観音茶、緑茶、高山茶、低海抜半球型包種茶で、それぞれの産地、生産農家の紹介がある。オマケのように生産地区を歩くモデルルートや宿泊施設も載っているが、少なくとも日本の観光客がこれを見て観光できるかは疑問である。
その中の高山茶の項に、南投県仁愛郷の産地紹介がある。振発茶行で買う「合歓山高山茶」はどうやらここのものらしいので読んでみたら、民国94年(2005)に仁愛郷農会が新たに命名したブランドだと書いてあった。私がこの本を買って、「まぁ良かったかな」と思えた瞬間であった。
こうなると振発茶行の安い「烏龍種」の素性も知りたくなるが、まぁこれだけでは確かめようもない。次に行く機会があれば聞いてみるのが一番か。
ともあれ、万人に勧められる本ではなく、むしろ日本語の書籍を買うべきだと思う。それでも関心があったら読んでみてはどうか、と消極的に宣伝しておく。
どうでもいいけど、この本を買ってる日本人がいるのね。それも同じbloggerで。神田の東方や内山には置いてあるのかなぁ?
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