ちょっとした用があり、昔の「天声人語」を読んだ。すると1977年11月1日付の内容が台湾旅行に関するものだった。
「恥という字をご存知ですか」で始まるコラムは、要するに日本からの旅行客が、ひたすら台湾に買春旅行を重ねているという「恥」を語っている。
ただしそれは、現地女を買い漁る日本人旅行者の醜聞を記しただけの内容ではない。むしろ問題は、日本の旅行業者が現地台湾の業者への支払いを減らし続けた結果、経営できなくなった現地業者が旅行客を売春宿に斡旋し、小銭を稼いでいるという点のようだ。
「まともな観光旅行」を日本の旅行業者が壊した結果がこれだとコラムは結んでいるが、現在もその構図は何も変わっていないわけだ。
で、買春への取り締まりが厳しくなった昨今、買春の代わりに使われているのが茶藝館と足ツボマッサージなのだな、と容易に推測できてしまうのが悲しい。
いずれも業種としては全くの合法だが、旅行者を無理矢理連れ込んで金を落とさせることに変わりはない。強いて異なる点があるとすれば、全員が等しく望んではいないことだろう。かつての男だけの団体旅行なんて、最初から買春ツアーだから不満は出なかったわけで……。
こういうスパイラルを解決する方法は、結局は旅行者が激安を求めないことに尽きる。尽きるとはいえ非常に困難なのだが、不可能ではなさそうに思える。
激安ツアーに参加した旅行者は、そのパック旅行に満足できただろうか? 相当の割合で満足できないならば、どこかで発想の転換があるかもしれない。正直、そんなツアーに金を払うぐらいなら、行かない方がマシだと私は思うけどさ。
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