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2009/06/05

水仙宮


 市場の中に埋もれる三級古蹟。元はもちろん宮が先にあって、その参詣路に市がたったのだろうが、最早ここは市場の店の一つのように溶け込んでいる。とはいえ、だから信仰されないってわけでもなかろう。とりあえず、気のいい神様ってとこだ。

 言うまでもなくここは海運の守護神。港町にあって、清の時代から信仰を集めていた。 


 実は水仙宮をここまで埋もれさせてしまったのは、日本の負の遺産であるという。
 日本統治時代に台南は埋め立てが進み、ここは港町ではなくなった。そこで信仰が下火になったところに、第二次世界大戦が始まった。水仙宮周辺には防空施設が計画され、それなりに広かった境内敷地のほとんどを削られてしまう。
 日本が去った後に空き地は市場となり、現在へ至る……ということのようだ。軍事施設よりは市場の中の方がまだ幸せな余生に違いない。

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